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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

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ソフトバンク元社員が持ち出した5Gの営業秘密を楽天モバイルは流用したのか?

5G情報の営業情報を持ち出し

ソフトバンクの営業秘密を不正に持ち出したとして、不正競争防止法違反容疑で、楽天モバイルに転職した40代の社員を逮捕したという報道が出た。

ソフトバンクの元社員は、退職直前に自分のパソコンからサーバーに接続し、携帯電話の技術情報をメールに添付して自分に送信した疑いが持たれている。

容疑者は、送信した日にソフトバンクを退社して、翌日に楽天モバイルに入社した。

どうして発覚したのか、持ち出した情報は何か、考えてみます。

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どうして発覚したのか?

報道の通りだとすると、容疑者はサーバに接続して情報を入手し、メールで自分に送信したそうだ。2019年末に情報を入手し、2020年2月にソフトバンクはこの事実を知り警察に通報している。

通常のIT企業であれば、サーバの接続ログとメールの送信ログは保存している。怪しいアクセスがあったり、不審な社員がいればアクセスログを調査するはずだ。ただ、日常的に接続するサーバなら調査をしないだろうから、この元社員は普段そういった情報にアクセスしない仕事をしていたのか、ソフトバンクでは退社した社員のアクセスログを調査しているのかもしれない。

解せないのは、ログを取得されているのを承知で元社員が犯行に臨んだということだ。メールの送信履歴を監視していると知らないレベルの社員なのか、ソフトバンク社内の管理が杜撰だと思ったのか。

持ち出した情報は?

ソフトバンクのプレスリリースによると、持ち出された情報は「4Gおよび5Gネットワーク用の基地局設備や、基地局同士や基地局と交換機を結ぶ固定通信網に関する技術情報」だそうだ。容疑者はネットワーク構築の業務に従事したということから、入手したのは個人情報や業者間の情報ではなく、純粋な技術情報だと思われる。

楽天モバイルは関与していたのか?

ご存知の通り、楽天モバイルとソフトバンクはシェア獲得に熾烈な競争を繰り返しており、今は5Gの通信エリア拡張にしのぎを削っている。

驚くべきことに、ソフトバンクのプレスリリースには、容疑者が楽天モバイルの業務用PC内に入手したソフトバンクの情報を保管し、楽天モバイルがその情報を活用した可能性が高いと明記している。

今後民事訴訟を提起するとも言っているので、楽天モバイルが情報活用に関与している証拠を握っていると思われる。

熾烈な競争の果てに

今回見えてきたのは、携帯電話各社の熾烈な競争だ。参入が遅かった楽天モバイルは、現行3社に追いつくために基地局を増設を急速に進めているが、それだけではなく、技術的に追いつくためにソフトバンクの技術情報を使ったことになる。

楽天モバイルからまだ声明が出ていないので、今回の情報活用に楽天モバイルのどのレベルの人間が関与していたのか、この社員が単独で行ったのか不明だ。ないとは思うが、楽天モバイルが企業ぐるみで関与していると判明したら、楽天モバイルにとって致命的なイメージダウンになりかねない。

今後の行方が気になります。

 
IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は小説家です。
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