ソニーQ3決算
ソニーが発表した2019年度Q3(2019年9月から12月)の決算は、売上高前年同期比プラス3%、営業利益マイナス20%の増収減益だった。
スマートフォンなどに搭載されるイメージセンサーがプラス29%と好調だった。スマホのカメラ数が増えることで、ソニーが販売するイメージセンサーの数も増えたことが要因だ。
売り上げが伸びたもうひとつの要因が、ソニー損保の運用損益の大幅増加だ。
一方で、ゲームの売上高はマイナス20%と大幅減収となった。ソニーの主力であるゲーム部門が低調に終わった原因を考えてみます。
PS5発表による買い控え
PS4の売上がハードとソフト共に下落したのが売上急減の主因だ。PS4はモデル末期に入っているので、売上が落ちるのは自然だが、今期の売上が落ちた背景にPS5の事前発表があったことは間違いないだろう。
次世代ゲーム機「「PS5」の販売時期、スペックをソニー事前に公開した。発売から一年も前にスペックまで公開したのは異例だ。
市場の視線がPS4からPS5へ移ってしまい、新製品がでるのに今更PS4を買いたくないとユーザー考えてもおかしくない。
ソニーもそれぐらいのことは予測できたはずなのに、どうしてこんなに早くPS5のスペックを公開したのだろう。
PS5を発表しなければならなかった事情
以前の記事で、PS5を事前発表したのは、「リーク」「ライバル機」「部品メーカー」「隠し球」が理由だとあげた。
決算がでて、PS5の事前発表を改めて考えてみると、PS5を絶対に外せないというソニーの決意を感じる。ゲーム関連はソニー全体の売上のうち20%以上を占める重要な部門だ。この部門の売上を落とすわけにはいかない。
ゲームビジネスは浮き沈みが激しく、ヒットすれば大きな売上となるが、失敗すれば極端に売上を落とすことになる。過去にも、Wiiはヒットさせたのに後継モデルであるWii Uが失速し任天堂は赤字に転落したこともある。
PS4の買い控えが起きたとしても、一年前にPS5を発表することで注目を集め、次世代機へきれいにバトンを繋げたい意図が見える。
ゲームビジネスは難しい
ゲームビジネスは本当に難しい。ハードが売れないとソフト会社もゲームを開発してくれず、ゲームがでないゲームは売れないネガティブスパイラルに陥ってしまう。
ゲームを開発してもらうためには、ハードのスペックを数年間固定しないといけないので、発売当初につまづくと長期にわたって取り返しがつかない。
それ故にモデルの切り替えには慎重を期するのは理解できる。
Switchのヒット、クラウドゲームの台頭など厳しい環境の中、発売までの一年間、ソニーがどのようにPS5をプロモートしていくのか非常に興味深い。