Microsoftと結ぶSONY
SONYとMicrosoftが、AIやクラウドに関して戦略提携に結んだ。今後両社は様々な連携を行っていくことになるが、提携内容にはクラウドゲーミング技術も含まれている。
SONYとMicrosoftと言えば、PlayStationとXBoxで家庭用ゲーム市場で長らく争ってきたのだが、どうしてここにきて提携に踏み切ったのだろう。
考察してみます。
ゲーミング分野でタッグを組む
今回の提携は様々な分野が含まれているが、SONYがMicrosoftのクラウドサービス「Azure」を自社のゲームや音楽サービスに活用することを提携するとある。
その背景には言うまでもなくサブスクリプション型サービスの隆盛がある。ゲームや音楽などのコンテンツ市場は、その都度コンテンツを購入するのではなく、クラウドのコンテンツをストリーミングして愉しむ定額制サービスに移行しつつある。
SONYは「PlayStation Now」で先駆けてストリーミングサービスを開始したが、コンテンツ流通の主流には至っていない。
そこに、Googleがストリーミングゲームサービス「Stadia」を開始すると発表した。
巨人Googleに負けないように、クラウドを強化して対抗するというのが、SONYの目的だ。
ではMicrosoft側にはどんなメリットがあるのだろう。音楽・映画・ゲームと大量のコンテンツを抱えているソニーが自社のクラウドサービスを使ってもらえれば売上げが伸びるし、SONYが培ってきたストリーミング技術も活用できる。
XBoxはどうなる?
現行世代の家庭用ゲーム市場では、任天堂のSwitchがPS4を追い上げる構図となっている。XBox Oneの販売台数はMicrosoftから公表はないが、PS4と比べて伸び悩んでいる。
今のナデラCEOになってからMicrosoftは選択と集中を行い、大規模な改革を実行した。パッケージ販売のMicrosoft Officeを定額サービスに移行し、クラウド事業に特化してきた。
何度も事業売却の噂があがったが、それでもゲーミング事業を辞めずに継続している。
将来、自社のクラウドサービスが活用できると考えたのか定かではないが、Office 365の成功体験から、ゲーミング事業の定額ストリーミング化に自信を持っているに違いない。
自社のクラウド事業を他の自社事業にも活用して双方で利益を上げる手法では、Amazonが先行している。Amazonは自社のクラウドサービス「AWS」を用いて、Amazon Music、Prime Videoを運用している。
自社のクラウド事業をアピールするためにもMicrosoftはXBox事業を手放さず、自社で運用を行い続けると思われる。
もちろん、将来的にはわからないが。
ベストかもしれない提携
複雑に絡み合うiT企業の事業領域の中で、SONYとMicrosoftが競合する分野は少ない。ゲーミング事業は重なり合うが、クラウドに強いMicrosoftとストリーミングゲームに強いSONYの組み合わせは相互補完になっていて両社の提携は良い選択肢と言えるかもしれない。