好調なソニーの決算
ソニーの第1四半期(4月から6月)決算は、売上が前年同期比約5%増、営業利益が約24%の増収増益だった。
好調な決算の要因は「ゲーム」だ。「ゲーム&ネットワークサービス」の売上は約4,700億円で、ソニー連結全体の約24%の売上がゲームだ。営業利益の多くをゲームで稼いでいる。
ハード・ソフトともに大きく伸びた。PS4は5年目を迎え、流通したハードの効果でソフトが売れ、製造原価が下がったハードで利益を出せる時期に入っている。もうひとつ、この決算で見えないが、PlayStation Plusの有料サービスの収入が安定していると思われる。毎月の定額収入は偉大だ。2018年通期でも、上方修正して強気の見通しだ。
落ち込み続けるスマートフォン
一方、落ち込みが目立つのはスマートフォン。「モバイル・コミュニケーション」の売上は前年同期比約27%減、営業利益は108億円の赤字。欧州・日本のスマートフォンの販売台数が減ったのが原因。
「Xperia XZ2」を投入したが、厚ぼったいボディ、太いベゼル、シングルカメラと現代のトレンドから外れた仕様が受け入れられていないようだ。
最先端の製品を供給しているなら、今後伸びる見通しがあるが、今のXperiaは、AppleだけではなくXiaomiなどの中国メーカーにも追いついていないように思う。
ソニーはスマートフォン事業を継続すると言っているが、スマートフォン市場が飽和しつつある現状、どこまでソニーが戦えるか注目だ。
世界市場と異なりホームグラウンドである日本市場で、Appleが強すぎるのがソニーの不幸でもある。
次世代機が焦点
テレビ・ヘッドホンが売れている「ホームエンタテインメント&サウンド」分野も好調だったが、大きく伸びたのは前述のゲーム。
ゲームはヒット作次第なので浮き沈みが激しい分野だから、今後もソニーが好調さを保つためには、他の分野での大ヒット作が望まれる。
これだけPS4ビジネスが好調だと、「PS5」をどうするかが難しい。プラットフォームを入れ替える時期は、他社につけ入る隙を与えるリスクが発生する。
eSportsの隆盛でゲーミングPCが伸びてきているので、PCと性能差が広がりすぎるとPS4が陳腐化する。
当分、PS5を出さないとソニー幹部は言っているが、Switchの望外なヒットもあり、次世代機戦略を決めかねているのもあると思う。好調なうちに、次の戦略を決めたいところだ。