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菅総理になったら、携帯電話料金は安くなるのか?

菅総理誕生が確定?

安倍首相退陣に伴い行われる総裁選は、主要派閥が菅官房長官を支持したことで、菅新総理誕生が確定的となった。

菅官房長官といえば、「携帯電話料金が高い」と発言し、携帯電話料金を値下げするように積極的に動いてきた。菅さんが総理になったら、携帯電話料金が下がるのか考えてみます。

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楽天頼みだった料金値下げ

ここ数年、携帯電話料金を値下げするために様々な取り組みが行われた。その取り組みをシンプルにいえば「競争促進」だ。携帯電話の購入と長期契約を紐付けて販売していることで、ユーザーがキャリアに縛られて他のキャリアへ移行するのを妨げているとして、長期契約の見返りによる携帯電話の大幅値下げを禁止した。

他のキャリアへ移行しやすくなっても、他のキャリアの料金体系が似たり寄ったりでは移行するユーザーは増えない。現に3大キャリアの料金プランには、大きな差異がなかった。

競争を促進するために、官房長官と総務省の頭にあった切り札は第四のキャリア「楽天」である。、携帯電話周波数を割り当てられた楽天が携帯電話キャリア事業に参入した。

鳴り物入りで始まるはずだった楽天の携帯電話事業だったが、通信設備の敷設が遅れて、通信エリアが広がらない問題が起きた。その結果、正式スタートが遅れてしまった。遅れを挽回しようと1年間通信通話無料の荒技でユーザー数を集めようとした。

それでも目標のユーザー数に届かず、自社開発のRakuten Miniを1円で販売する大技でユーザー数獲得に乗り出した。

ところが、ここでも問題が起きた。Rakuten Miniの対応バンド数をユーザーに知らせぬまま変更したことで、総務省から指導が入った。

ユーザー数は増え、通信エリアも広がってきたが、「楽天、大丈夫?」という空気が広まったことは否めない。

3大キャリアも、楽天にシェアを奪われる危険性が減ったと考えたのか、料金プランの大幅値下げを行っておらず、UQ Mobileなどのサブブランドを活用することで対応するようにした。

楽天にとっての誤算は、官房長官と総務省の誤算でもある。結果的に、料金プランはあまり下がらず、新規携帯電話購入の負担だけが増大したような印象だけが残った。

総理大臣に携帯電話料金は下げられる?

では菅さんが官房長官から総理大臣になったら、携帯電話料金は下がるのだろうか? 一つ可能性があるのは、電波オークションの実施だ。現在、携帯電話で使用する周波数は総務省が割り当てている。これをオークションで落札するようになったら、ユーザーを増やしたい企業、具体的には楽天が応札し周波数を増やすことが起こり得る。楽天の通信エリアは広がったが、割り当てられている周波数が脆弱なため、地下鉄など屋内で3大キャリアと同様の通信品質を保つことができないと言われている。

ただ同然で割り当てられている周波数を獲得するのに多額の費用がかかれば、逆に通信料金の値上げの材料になってしまう可能性がある。

当たり前だが、総理大臣だとしても、私企業の値付けを強制的に値下げさせるような真似はできない。独禁法違反などの不正があれば別だが、それ以外にできることは規制緩和か、今まで行ったような競争の促進を促す公平な競争環境の構築だけだ。

それらは官房長官時代にも積極的に推し進めてきたことで、総理大臣になったからといって、やれることはほとんどない。

最後の切り札は許認可制の導入

では、菅総理大臣が誕生しても携帯電話料金を下げる方法はないのだろうか。

可能性があるのが、許認可制の導入だ。施設の新設が難しく、鉄道などの寡占業界、生活に密着している電気・ガス・水道などは公共料金によって政府・自治体の認可によって価格が変動する。

国民のライフラインになっている携帯電話料金は公共料金扱いになっているが、届け出さえすれば認可を受けなくても料金を改定することができる。

これを変更して、携帯電話料金の改定も許認可制にする手はある。許認可制にすれば、政府から価格の指導が今までよりも容易になるが、値下げの圧力をかけることは他の事業ではほとんど行われていない(少なくても表面的には)。

また、許認可制にすれば、料金改定を弾力的に行えなくなり、ユーザーのニーズと乖離する可能性もある。

携帯電話料金への許認可制の導入はキャリアの反発もあるだろうし、現実的には相当難しいと思われる。

そうなると、携帯電話料金を下げるためには競争を促進するしかなく、電波オークションを実現し、第4のキャリア楽天に頑張ってもらうのが、遠回りのようで唯一の解かもしれない。

 
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