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TVerが殺すレコーダーと地方局

TVerとは

TVerを使っているだろうか。地上波などのテレビ番組をネット経由で鑑賞できるサービスだ。最近では一部のドラマやバラエティ番組を見逃し配信している。

地上波各局は、個々に動画配信サービスを運営しているが、TVerはそれらを集約し、CMと共に配信している。

非常に便利なサービスだが、TVerはHDDレコーダーと地方局を潰すことになるかもしれない。

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妥協の産物のTVer

本音を言えば、各テレビ局は動画配信サイトなどやりたくないに違いない。地上波でリアルタイムに放送することで、コマーシャルも同時に流すことができスポンサーから広告費を得ることができる。

また、番組を見逃した人にコンテンツをDVDにして販売できる。

ただ、Amazon VideoやNetflix、YouTubeなどの動画配信サービスが人気になり、テレビ局も座視していられず、各局が有料の動画配信サービスを開始した。フジテレビが運営するFODは月額880円と、決して安い料金ではなく、人気を博することはなかった。各局がバラバラに運営しているので、使い勝手が悪いテレビ局の配信サービスは敬遠されていた。

その状況を打破するために、民放各局と広告代理店が協同してTVerを立ち上げた。地上波のコンテンツには以前の勢いはなくなっているが、CMを含めてダラダラと番組を観ることはできなくても、話題になったドラマをあとから動画で鑑賞したい人はまだ一定数いる。動画配信なら、テレビだけではなくスマホで外出先にでも鑑賞できる。

テレビ局の目論見通りかわからないが、TVerはある程度の人気を確保し、コンテンツ鑑賞時の有力な選択肢となった。

アカウント作成が不要など、ユーザーが忌避しそうな要素を排除し、すぐにコンテンツを鑑賞できるようにしたことも大きかった。

レコーダー消滅

TVerが一般化した要因のひとつは、HDDレコーダーの代替になった側面がある。以前は、好きな時間に番組を鑑賞するためにHDDレコーダー(大昔はビデオレコーダー)が各家庭にあったが、コンテンツの多様化に伴いレコーダーを買わない家庭も増えた。そういった人にとって、装置がなくてもいつでもどこでもコンテンツを鑑賞できるTVerは便利なサービスだ。

TVerの存在は、HDDレコーダーの需要をさらに弱めることになるだろう。もちろん、すべての番組をTVerで鑑賞できるわけではないが、他の動画配信サービスのついでに評判の番組を観たいライトユーザーには新たにレコーダーを買わなくても鑑賞できるTVerはおあつらえ向きのサービスだ。

TVerによってレコーダー文化は一部のマニアのものになるかもしれない。

地方テレビ局の消滅

東京にいるとよくわからないが、地方には複数の地方局があり、地上波を放映している。と言っても、地方局がすべての番組を制作しているわけではなく、在京キー局が制作した番組を放送している場合がほとんどだ。

一部の地方番組(地方によるが、放送時間帯全体の5%程度)だけ制作し、地元のCMを流すのが地方局の主な役割だ。

多額の費用をかけて地上波デジタル放送を導入し、スカイツリーを建設した理由のひとつは、地方局を存続させるためだ。

全国一律に同じ番組を放送するなら、衛星放送でも構わなかった。BSなら、地デジよりも解像度も高い。だが、地方独自の番組とCMを流すために地デジは導入されたのだ。

しかし、地方局独自の番組はわずかしかない。それらの番組を楽しみにしている人もいるだろうが、わざわざ地デジを導入するのではなく、ネット放送でも良かったはずだ。地方局という利権を維持するために、多額のコストと税金が地デジに導入されたわけだ。

そこまでして維持されてきた地方局だが、Tverによって岐路に立つ可能性がある。TVerがあれば、地方でも在京キー局の番組を鑑賞することができる。TVerはradikoと異なり、全国どこでも番組を鑑賞できるので、地方局の存在意義を脅かすことになる。

TVerで多くの番組が鑑賞できるようになれば、地方局も地デジも不要になる。そうならないために、リアルタイムに配信しないなど、テレビ局もTVerに制約を加えているが、他の動画配信サービスとの競争に勝つために、それらの制約を今後は開放していく可能性は高い。

HDDレコーダーと異なり、CMを觀なければならないTVerの広告費は、テレビ局にとって悪くない額なのかもしれない。経営が悪化しているテレビ局としては、コストがかかる地方局の維持ではなく、ネット放送に順次切り替えていってもおかしくない。

TVerがもたらすパラダイムシフト

ネット経由で、いつでもどこでも番組が鑑賞できるなら、レコーダーや地方局の制約から解放されるので、TVerの普及は利点も多い。一方で、TVerでの鑑賞はCMがセットになる。レコーダーならスキップできるCMを強制的に鑑賞するのは苦痛だ。

有料会員はCMがスキップできるようになれば、会費はテレビ局にとっても貴重な財源となるだろう。

テレビ局という旧態依然のシステムも、自分たちがはじめたTVerによって、パラダイムシフトを否応なく行わざる得なくなるかもしれない。

 

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