アカウント停止についてCEO自ら説明
Twitter社のジャック・ドーシーCEOはTwitterやFacebookなどのSNSがトランプ大統領のアカウントを停止したことについて説明した。
アカウント停止の危険性を理解していたCEO
ドーシーCEOは「アカウント凍結を行わざるを得なかったのは我々の失敗」だとしている。オープンなインターネット空間を維持するためにアカウント凍結などという強硬手段を取るべきではないし、これが悪い前例になると言っている。
本来はそのサービスが嫌なら別のサービスを使えば良いはずだが、今回一斉にサービスを停止したので、トランプ大統領は他のサービスに乗り換えることができなかった。民間企業が言論を停止させたわけだ。
ただ、今回は暴力を回避するために致し方ない措置だとも言っている。
CEOの主張は妥当だと思う。TwitterやFacebookなどのインターネット企業が目指してきたのは、オープンで公平な言論環境だった。誰もがアクセスできて自由に発言できる空間をGoogleやAppleなどのインターネット企業は目指してきた。
今回のアカウント停止への批判はもちろんあるが、トランプ大統領の扇動への批判の方が大きかったと思う。だが、議論が分かれる微妙な言論をTwitterなどの民間企業が独断でアカウント停止という言論封鎖を行えば、批判を受ける。アメリカ企業ではCEOがかなり権力を握っている。CEOが恣意的な判断を下せば言論弾圧を実行できてしまう。
議事堂占拠という前代未聞の醜態を再び犯さないためとはいえ、自らその言論を封鎖するような措置を行なったことに問題があることをドーシーCEOは正しく理解している。
ドーシーCEOが言うように、言論を規制しても分断はなくならない。言論を封鎖された方はさらに深く相手を恨み、分断は深まる一方だ。
その危険性をドーシーCEOは正確に認識している。その上で、ドーシーCEOはソーシャルメディアのオープンな環境を維持するために分散型のスタンダードなシステムを構築するための投資を続けると言っている。
オープンなルールを構築するために
オープンで誰でもアクセスできる言論環境はインターネットにとって最も重要なものだ。ただ、今回のトランプ大統領の言動のような暴力への煽動を止める手段も必要だ。
今回は緊急措置として結果的に全社が一斉にアカウント停止という手段に出てしまったが、本来はそれ以前にアカウント停止する是非をルールに基づいて議論する環境が必要だった。
今回のことを教訓として各社は話し合い、誰でも納得できるオープンなルールと環境を構築するべきだろう。政府も参加し、法制度化できればより公平性が担保されると思うが、その道のりは長いと思われる。それまでの間は、停止措置などを取る前に、まずインターネット各社が誰もが見える場で話し合うべきだ。
ドーシーCEOのツイートを読む限り、その議論ができる素地がインターネット各社にはあると信じる。