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Amazonの売上が減少。その理由は?次の一手は医療?

最強の企業Amazon

Amazonは史上最強の企業だと思う。オンライン販売、Amazon Videoなどのエンターテイメント、そしてAWS。さまざまな業種でトップクラスのシェアを握っている。

そのAmazonの成長が鈍化しているという報道が出てきている。市況の影響もあり、Amazonの株価は低迷している。

第1四半期の業績は赤字で、売上高の成長率は一桁台に落ちている。ネット通販は3%の減少だ。AWSや広告の売上は調子良いけど、Amazonの売り上げの半分はネット通販なので、全体の売上に大きな影響を及ぼしている。

今後のAmazonを考えてみます。

Amazonの課題

Amazonのネット通販の勢いが止まった理由はなんだろう。ネット通販が一般化して、需要を取り尽くしてしまったのだろうか。だが、日本に楽天があるように他国でもAmazon以外のネット通販サイトはあるし、ネット通販よりもはるかに巨大な店舗販売の市場もまだ現存している。それらのシェアを奪うことなく、Amazonのネット販売が失速し始めている。

Amazonは、「インフレとウクライナ情勢によるコスト高が影響している」を失速の理由に挙げている。

それも一因だが、Amazonは他にも多くの課題を抱えている。一つは労務問題。本国アメリカだけではなく、日本でも労働組合を結成する動きがある。Amazonは効率重視の会社で、それがAmazonの強みではあるけど、労働者にとってはたまったものではない。Amazonの正社員は比較的高給だが、倉庫勤務やフリーランスのドライバーはそうでもない。人材難もあり、その格差は開く一方で、不満が高まっている。

もっと大きな問題は、販売サイトの信頼性だ。元々AmazonはAmazonが仕入れて販売する商品がほとんどだったが、現在は流通総額の約60%が別の販売業者であるマーケットプレイスの販売である。

楽天との比較で、Amazonが優位だったのは検索性だったのに、同じ商品を複数の業者が販売し、Amazonの商品検索の信頼性が大きく損なってきている。

Amazonの商品の信頼性を支えているのが、レビューだ。実際に購入した人の口コミによる評価がAmazonで商品を探す際の参考になっていたが、そのレビューの質が大きく揺らいでいる。

主に中国企業による、いわゆる「レビューを買う」行為が横行している。商品購入者に、レビューをお願いする代わりに商品券やグッズを提供する仕組みだ。以前に比べてAmazonも監視を強めているが、不正なレビューは今でも残っている。

Amazonがずっと大事にしていた「シンプルさ」や「公正さ」が揺らいでいるのが、Amazon衰退の大きな原因となっていると思う。

見えてこない新規事業

Amazonの強みは、人材と哲学だ。よりよいものを追求する哲学が社内に浸透し、それを支える人材が揃っている。改善し続けることが社内の共通言語になっていて、改革のスピードが速い。

ところが、最近のAmazonは改善は続けているが、目立った新規事業が現れていない。ネット通販から生まれたAWS、スマホやタブレットを開発したFire、スマートスピーカーAmazon Echoなど、多くの新規事業を立ち上げてきたが、最近はあまり見かけない。

実験的に始めたAmazonの実店舗は苦戦しており、Amazon Bookは閉店し、海外への進出もほとんどない。

その背景には、創業者ベゾスがCEOを退任したことが影響しているのではと思える。ペゾスは現行ビジネスではなく宇宙ビジネスに注力すると公表しCEOの座を退いた。

現行のAmazonのビジネスは改善の袋小路に入っていて、新しいものが生まれにくくなっているのは、ベゾスの権力が弱まって、新しい挑戦が生まれにくい土壌ができてきているのでは。

Amazonの次の一手

新規事業が見えてこないAmazonだけど、久々に次の事業が見えてきた。Amazonは、初期診療サービスを行なっているアメリカ企業のワンライフ・ヘルスケアを買収した。20以上の診療所と医師を39億ドルで手に入れた。

Amazonは自社の社員のケアのためにも、医療を発展させようとしている。よく言われるように、アメリカの医療市場はカオスだ。治療費用は高価で、お金がない人は満足な医療行為を受けられない。医療技術は世界でも最先端だけど、それを享受できる人は限られている。

その現状を見て、Amazonは米国の医療を改革しようとしている。ただ、その改革は道半ばだ。2019年に始めた事業だが、目立った成果はまだ見られない。

医療は複雑だ。既得権益が大きく政治も絡むし、お得意のオンラインでできることにも限界がある。薬や診察はできても、実際の医療行為はオンラインではできない(今のところは)。Amazonは世界企業だが、国よって医療事情は大きく異なるし、法律も違う。

ヘルスケアという観点では、AmazonよりAppleのアプローチの方が自然だ。Apple Watchで心拍数などを計測し、ワークアウトを後押しすることでユーザーの健康をチェックしサポートしている。

Amazonは最も難しい医療行為にまず踏み込んだが、その沼はとても深く見通せない。

今後は?

Amazonの売上も株価も停滞してきているし、急成長したことにより綻びも見え始めているが、筆者は楽観視している。Amazonが史上最強の企業であるのは、優秀な社員と社内哲学があるからだ。

新しいアイディアも尊重する社風に乗って、そこから新規事業を生み出す力がまだあると思う。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
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