iOS 13.2.2公開
iPhone向けOS「iOS 13.2.2」をAppleが公開した。リリースノートによると、モバイル通信が切断される不具合が解消しているそうだ。
このところiOSのアップデートが相次いでいる。最近のアップデート履歴は、こちら。
2019/09/26 iOS 13.1
2019/09/28 iOS 13.1.1
2019/10/01 iOS 13.1.2
2019/10/01 iOS 13.1.3
2019/10/29 iOS 13.2
2019/10/31 iOS 13.2.1
2019/11/08 iOS 13.2.2
1ヶ月半の間に、7回のアップデート。これだけ頻繁にアップデートされるのは、iPhone史上初めてのことだと思う。どちらかというと、Appleはバグ修正をなかなか行わないイメージがあった。
どうして、アップデートを立て続けに行っているか考察します。
5つのOS開発
13.1と13.2以外の小さい数字のバージョンはいずれもバグフィックスだ。通信やSafariなどのバグが対象だ。
最近になってOSのバグが増えてきたのだろうか。バグが増えるのはOSを大幅に刷新したときや新機能を付与したときだ。
だが、今年のiOSはダークモードなどいくつかの機能は追加されたが、OSの根本を変えるような機能はなかった。インターフェイスもほとんど変更されていない。
もしバグが増えたとするなら、AppleのOSが増えすぎたことが原因かもしれない。macPS、iOS、WatchOS、tvOSと既存のOSの他に今年はiPadOSが追加された。iPad用のOS「iPadOS」はiOSから分離した新しいOSだ。iPadOSの中身はiOSとほとんど変わらないと言われるが、別名称にしたことで、中身が変わらなくても管理量は増大する。担当者が増え、バグを見つけるテストも急増する。
5つのOSを同時に開発する企業というのは、過去にあっただろうか。Microsoftは、16ビット用、32ビット用、サーバ用、モバイル用のOSを開発・管理していた時期もあるが、Microsoftのほうが企業規模は大きいし、当時のMicrosoftはOS・ソフトウェア専業(ほぼ)だったが、Appleはハードウェア主体の企業だ。
5つのOSを同時開発することは現在のAppleのOS開発陣には重荷なのかもしれない。
クックCEOの方針
ジョブズ時代のAppleは、ハードもソフトも容易に変更しなかった。iPhone 4の発売時に、電波受信状態の問題が起きたが、「持ち方によって、すべての携帯電話で問題が起きる」と強弁して、Appleは自社の責任をすぐには認めなかった(結果的に責任を認め、無償でケースを配布する事態となった)。
クックCEOに代り、以前と比べてAppleの態度は軟化した。ユーザーの要望を取り入れて、以前より多くの種類のモデルを販売し、OSも独創的な機能の追加よりも、ユーザーの使い勝手を考えたバージョンアップが行われている印象がある。
OSのバグについても、隠すのではなく、バグフィックスを積極的に行う姿勢に転じたように感じる。
充実したダウンロード環境
以前は、OSのアップグレードは公開時期をずらしたり、ダウンロードに時間がかかったりすることがあったが、最近では複数の新OSが一斉に公開されるのも常態化してきて、ダウンロードも滞ることが少なくなった。
世界に10億人以上いると言われるiPhoneユーザーがOSのアップグレードのために殺到してもAppleのサーバーは容易に落ちないし、遅延しない。
iCloudを運営している経験からか、Appleは自社のサーバをかなり増強しているようだ。クラウドサービスを自社で運営することで、コストも押さえられているに違いない。
コストも手間もそれほど掛からないから、新しいOSを頻繁に公開しても問題はないのかもしれない。
頻繁なアップデートは嬉しいがバグを出さない環境も
問題が見つかったらすぐにアップデートしてくれるのは嬉しいが、最初からバグを出さなければアップデートの必要はない。
プログラムにバグはつきものだが、現代のスマートフォンは重要なライフラインのひとつだ。バグにより、スマートフォンが使えないと生活に支障をきたす人も多い。
OSのアップデート自体にもリスクがある。OSアップデートでいわゆる”文鎮化”した事例も多い。
できるだけバグを出さない、しっかりしたテスト体制の構築が望ましい。