EarPodsと電源アダプタが同梱されない?
iPhoneシリーズは初代から電源アダプタとイヤホンを同梱している。
付属のイヤホンにはマイク機能もついていて、テレビ電話などで会話もできる便利なものだ。最初はイヤホンジャックに挿す仕様だったが、iPhoneのイヤホンジャック廃止に伴い、Lightning端子仕様に切り替わった。形状も様々な耳の形に合わせて、一般的なイヤホンからEarPodsに変更された。
電源アダプタの形状は長い間ほとんど変更されなかったが、iPhone 11 Proシリーズから18W USB-C 電源アダプタに変更された。
この伝統あるイヤホンと電源アダプタの同梱をiPhone 12からやめるという噂が流れている。
「ただのコスト削減」と思われがちだが、妥当ともいえる理由がありそうだ。
理由を考えてみます。
価格を下げるため
同梱物を削減すれば、当然コスト削減になる。コスト削減する目的のひとつは、価格を下げるためだろう。日本円で10万円を超えたあたりから、「iPhoneは高すぎる」という評価が増えた。特に、日本では携帯電話の大幅値下げが制限され、高価なスマートフォンが売りづらい状況になっている。
Apple製品というと高価なイメージがあるが、最近のAppleは値下げ路線を打ち出している。モデルチェンジしたMacbook Proは10%近く値下げされ、2代目iPhone SEはiPhone史上最安値の価格で販売されている。
Appleの主力製品であるナンバリングiPhoneも値下げを行う必要がある。iPhone 11とiPhone SEとの価格差が大きく、iPhone 11の価格帯のままiPhone 12を販売すればiPhone SEにユーザーが流れる危険性があるからだ。
ナンバリングiPhoneにユーザーを確保するためには値下げが必要と思われる。ただ、コストを削減して、フラグシップであるナンバリングiPhoneの性能を落とすのはリスキーだ。そこで、比較的不要な同梱物を廃止するのは妥当な選択だ。
ユーザーの選択
現状、iPhone同梱のEarPodsと電源アダプタを使っているユーザーはどれだけいるのだろう。以前とは異なり、EarPodsの代わりのアイテムで音楽を聴く手段が多くある。AirPods発売以降、Bluetoothイヤホンが爆発的に流行し、iPhoneからケーブルをぶら下げて音楽を聴く人はかなり減った。
電源アダプタも数多くのサードパーティ製が出回っていて、100均でも販売している。iPhone X以降はワイヤレス充電に対応しているので、Qi充電器を使用している人も多い。
消耗部品である充電ケーブルと異なり、電源アダプタはめったに壊れない。
iPhoneを頻繁に買い換える人は、使っていない電源アダプタが部屋に転がっているのでは。
使っていない人も多いイヤホンと電源アダプタを同梱せずに、ユーザーの選択に任せたほうが現実に即している。
Lightningポート廃止の布石
今年発売のiPhone 12では廃止されないようだが、今後iPhoneからLightningポートを廃止する計画があるようだ。ポートをなくして、デザインと耐水性能を向上させる目的がある。
Lightningポートの代わりにSmart Connectorを搭載し周辺機器と容易に接続できるようになるといわれている。
Lightningポートがなくなれば、EarPodsは使えないし、電源アダプタと充電ケーブルも直接接続できなくなる。Lightningポート廃止する前に、Bluetoothイヤホンとワイヤレス充電に移行を促すために今年から電源アダプタとイヤホン同梱をやめるのは理解できる判断だ。
環境への配慮
同梱物を減らせれば、iPhoneが入っている箱を小さくできる。工場からの配送量も減らすことができ、環境保護へ貢献できる。
良いタイミングな気がする
長年同梱してきたイヤホンと電源アダプタだが、同梱を廃止する良いタイミングだと思える。WWDCで発表されたiOS 14では今まで許されなかったガジェットのホーム画面への配置が実現する。その背景にはiPhoneの大画面化があると予想する。ガジェットがホーム画面を占めれば、画面が大きいほうが情報量と配置するアイコンを増やすことができる。
大画面化したiPhoneをSmart Connector経由でキーボードと接続し、”ミニiPad”として機能する可能性もある。
その流れの中でも、イヤホンと電源アダプタの同梱停止はありえる話だと思う。