新型iPod Touch登場
AirPodsやiPad Airのように、AppleはiPod Touchをいきなり発表した。
形状は以前と同じで、大きく変わったのはiPhone 7と同じプロセッサ「A10」を搭載したことと、256GB版が追加されたこと。
約4年ぶりのモデルチェンジで、噂はあったけど、まさか本当に新モデルが登場すると思っていた人は少ないだろう。
iPhoneが普及している現状で、モバイル通信ができないiPod Touchにどれだけの価値があるかわからない人も多いと思う。
多くの人が待ち望んでいたわけではないiPod Touchをモデルチェンジした背景から、Appleの新たな戦略が透けて見える。
解説します。
Appleの全方位戦略
このところのAppleは、新製品を積極的に発表している。今まではモデルチェンジを長らくせず放置されていた製品も多かったのに、最近ではその多くがモデルチェンジされた。
この記事にある中で、現在販売中でモデルチェンジしていないのは「Apple TV」と「Mac Pro」だけだ。AirPods、iPad mini、iPod Touch、Mac miniがモデルチェンジし、Mac Proもモデルチェンジが予告されている。
これはクックCEO下で起きたことだ。ユーザーの希望があるなら、マーケットが小さい製品でも積極的に発売していくのは、以前のAppleでは考えられないことだ。
もちろん、Appleの事情もある。iPhoneの販売が陰りを見せる中、少ないニーズで取り込んで、少しでも売上を増やしたい思惑がある。
新型iPod Touchはゲーム機
この時期にiPod Touchを発表したのは、秋に登場する定額ゲームサービス「Apple Arcade」が背景にあるのは間違いないだろう。
Apple Arcadeは、Appleが始める定額ゲームサービスで、いつでもどこでも様々なデバイスでゲームを遊ぶことができる。
Apple TV、Mac、iPad、iPhoneで遊ぶことができるが、最新のiPhoneを持っていない子どもでも遊べる安価なデバイスが必要だった。
携帯して遊ぶのにiPod Touchは最適だ。AppleのiPod Touchのページでもミュージックの次にゲームが紹介されている。
Apple Arcadeはオフラインでも遊べるので、Wi-Fi接続機能しかないiPod Touchでも十分遊べる。
今回のiPod Touchは価格も抑えられていて、32GBなら21,800円。子どもに買い与えることもできる価格帯だ。
シリコンミュージックプレイヤーがほぼ消滅している現状、iPod Touchのライバルとなり得るのはNintendo Switchだろう。Apple TVと連動すれば、iPod Touchは、Switchのように大画面でも携帯しても遊べる。
ゲームのラインナップによるが、定額でいくらでも遊べるApple Arcadeは、Switchの脅威となりそうだ。
Apple Arcadeへの本気度が見える
忘れ去られそうになっていたiPod Touchまで復活させたことに、絶対にApple Arcadeを成功させるAppleの本気度がわかる。新しいサービスは米国だけで行うことが多かったのに、Apple Arcadeは日本をはじめ米国外でも同時にサービスを開始する予定だ。
屋台骨のiPhoneの売れ行きが落ちても、サービスで成長していくAppleの覚悟がiPod Touchからわかる。