微増のスマートフォン市場
2018年の第1四半期(1月〜3月)で全世界のスマートフォンの販売台数がわずかに増加したと調査会社Gartnerが発表した。
前年同期比で1.3%増。スマートフォンがある程度行き渡り、買い替えサイクルも伸びているスマートフォン市場は飽和状態に差し掛かっていると言われる。
iPhoneが登場して10年で、一般の人が使うには不自由ないスペックまで到達し、わざわざ買い替える意義を見出しづらくなっている。
いつか来た道
これはPCが辿った道と似ている。インテルが毎年新しいCPUを発表しても、一般ユーザーは現行PCの速度に不満がなく、CPUパワーを使う新たな用途もでてこなくなり、PC市場の成長は止まった。
PCはWindowsのモデルチェンジ戦略で数年ごとに買い替えを促すイベントがあったが、OSを適時アップデートできるスマホは、そのきっかけもない。
もうひとつ、以前のPC市場と状況が似ているのは市場の寡占化が進んでいることだ。1995年のWindows 95発売で広がったPC市場は、徐々にビックベンダーだけが生き残れる市場へと変わり、7年後の2002年にHPがコンパックを買収、2004年にLenovoがIBMのPC部門を買収した。それからLenovo、HP、Dellの3社で半数以上のシェアを握る寡占化が進んだ。
市場が伸びているうちは多くのベンダーが参入するが、市場の伸びが停滞すると、大量生産による安価な製品を製造できる大手ベンダーの力が勝る。
スマートフォンも大手4社(サムソン、Apple、Huawei、Xiaomi)で5割以上のシェアを握り、今期はさらに占有率が高まった。Huawei、Xiaomiの中国メーカーが安価な製品で台頭する姿も、PC市場で台湾メーカーのAcerとASUSが伸びた姿と被る。
欧米的な経営スタイルのHuaweiがLenovoのようにグロバールカンパニーになる可能性を秘めているのも、当時のPC市場と似通っている。
今後、PCが辿ったようにスマートフォンもコモディティ化が進み、一般ユーザーが安い製品に集中し、さらに寡占化が進むと思われる。
Appleはどうする?
今期シェアを伸ばしたAppleが、市場が変わる中で今後どのような戦略をとるのかは注目だ。PC市場ではシャアを追わず、高品質高マージンの戦略をとってきた。
スマートフォン市場ではiPhone SE2を発表し低い価格帯も取りにいくのか、今までのようにハイプライス、ハイマージンの戦略を維持するのか。iPhone全モデルが高価な有機ELモデルになる噂もある。
恐らく今年の秋に発売するであろう次期iPhoneで、Appleがどちらの戦略を取るのか明らかになるだろう。