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トランプ大統領のTwitterアカウントが永久停止に。ポリシーの問題ではなく、強大なプラットフォームの存在が問題

トランプのTwitterアカウントが永久停止

Twitter社はトランプ大統領のTwitterアカウントを永久停止した。議事堂占拠事件に絡み、大統領がさらなる暴力を煽動するリスクがあるというのが理由だ。

これに対して、言論の規制だという批判も出ている。このことについて少し考えてみます。

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 Twitter社の判断は妥当

Twitter社は、暴力を扇動する目的の使用を自社のポリシーで禁止している。トランプ大統領のツイートが暴力の賛美にあたるとして今回の判断に至った。Twitter社は、何度も警告してたが大統領が応じなかったとしている。

ただ、トランプ大統領が犯罪行為を直接扇動したわけではない。今回問題になったツイートは「バイデン次期大統領の就任式に出席しない」「私に投票した7,500万人の愛国者がアメリカを再度よくする声は大きくなるだろう」という内容で、これ自体は犯罪行為ではないが、現在の緊迫した状況でのこの発言は暴力を誘発する危険性が高いとTwitter社は判断した。

この判断自体は仕方がないと思う。Twitter社が自社で定めたポリシーに従いアカウント停止を実行したわけだから、Twitterのサービスを使いたければポリシーに従わざるを得ない。民間企業であるTwitter社が自社のサービスポリシーをどのように設定するかは自由だ。

トランプ大統領のツイートが「暴力の扇動」に当たるかは分析によって異なるが、その基準を決めるのも自社のサービスである以上、権利はTwitter社にある。

トランプの暴力的発言を放置したら、Twitter社も企業として責任も問われかねない。Twitterはプラットフォームである。電話で犯罪行為を語ってもNTTの罪にはならないのと同じように、ツイートが暴力行為に加担してもTwitter社が罪に問われることはないが、社会的な批判を浴びる可能性はある。

言論封鎖という批判

一方で、今回のTwitter社の措置は「言論封鎖」「検閲」だという批判がある。Twitterでの発言を封じる行為が「言論の自由」を侵害したというのだ。いうまでもなく言論の自由は非常に重要な権利だ。全ての人が思うことを好きに話す権利は、基本的人権に含まれ、守らないとけない。

しかし、別にトランプが「就任式に参加しない」と主張する権利が剥奪されたわけではなく、Twitterというサービスが使えないだけだ。Twitterが嫌なら別のサービスを使えばいい。

一方で、Twitterは「公共的なプラットフォーム」という意見もある。NTTが電話での発言を規制しないように、Twitter社が独自の基準で発言を検閲し規制するのは間違っている人もいる。

トランプ大統領は選挙で選ばれた公人だ。7000万人以上が投票して選ばれた大統領の発言を、一民間企業が規制して良いのかという批判がある。Twitterは「公共財」なのだから、中立であるべきだし、検閲をして規制するべきではないという理屈もわかるが、Twitterには自社のサービスのポリシーと内容を決める権利もある。

一民間企業であるTwitter社が自社のサービスを規制するポリシーを持つことが問題なのではなく、一民間企業が強大なプラットフォームを握っていることが問題なのだ。

Twitterよりもさらに強大なプラットフォーム

Twitterは「公共財」と誤解する人が出てくるほど強大な力がある。世界最強の権力を握る米国大統領の発言に影響を及ぼすほどのパワーを一民間企業が保持していることは脅威だと思う。Twitterに対抗するツールがあれば、Twitterで規制されても別のツールを使えば良いが、同じ影響力を持つツールは現状ない。今回規制したのはTwitterだけではなく、同じ民間企業であるFacebookも同様にトランプ大統領の発言を規制した。

もしも、Twitterに凌駕するようなツールが出てきても、それもまたより大きなプラットフォームによって規制される可能性もある。Parlerというトランプ信者が好んで使うツールがあるが、「暴力的な言動が投稿されている」という理由でAppleとGoogleは自社のアプリストアから削除した。

AppleとGoogleという2大プラットフォームが、やはり自社の基準に従い、言論の規制を行っている。

誤解してはいけないのは、AppleとGoogleが自社のポリシーに従い権利を行使する権利はある。問題は民間企業のサービスがプラットフォームとして強大な力を持っているということだ。

これが何か問題かピンと来ない人もいるだろうが、民間企業であるプラットフォーム企業が常に正しいとは限らない。膨大な個人情報の入手と経済活動への利用に批判が集まっているように、プラットフォーム企業が強大な力を持つことへの批判はある。

今回の「言論封鎖」問題も同様で、民間企業がプラットフォームを握り、独占し、法律や国民の目が届かない場で決められてしまうことが問題なのだ。

政治で規制するのが最適解では?

ではどうすれば良いのか? 民間企業ではなく、法律で規制するのが最適解だと思う。法律でプラットフォームを規制すると、時の政府が都合よくコントロールできるという懸念もあるが、民間企業の経営陣が自分たちの好きなようにコントロールする懸念も同様にある。それであれば、選挙という国民の審判が入る国会で議論して決めた方が民主的だと思う。

もちろん、そのためには政府の暴走を規制する仕組みも必要だが、国会であればそれもオープンで議論できる。民間企業には公開の義務もないし、議論の過程も公開されない。今回のTwitter社の決定もどのような議論でアカウント停止の措置に至ったか、どのようなツイートなら停止になるのか明確になっていない。

民間だから正義で、政府が規制するから悪だということはない。正しくオープンに規制する仕組みを構築するためには、そのための法整備が不可欠だ。

 
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