Appleの新戦略
Appleの決算ではiPhoneの売上は伸びている。台数が伸びなくても製品単価が上がったためで、もちろんiPhone Xの高価格戦略の成果だ。iPhone Xが高くて台数が伸びていない報道もあるが、飽和したハイエンドスマホ市場では価格が1000ドルを越えていなくても大幅な伸びは期待できなかったのだから、製品単価を上げて台数減を補う方針は正しい。
AppleはiOSデバイスを独占しており、Androidへの乗り換えのハードルも高いので、価格を上げてもついてくるユーザーは多い。
iPadはどうなる?
iPhone X以後のAppleの戦略はどうなるだろう? 過去のAppleの戦略からすると、iPhone Xで搭載した新機能を他のデバイスへ順次搭載してくと考えられる。iPhone 5sが最初に搭載したtouch IDをAppleはiPad、MacBook Proにも順次搭載した。
iPhone Xの新規機能は、OLED液晶、Face ID、ワイヤレス充電だ。今までの定石だとこれらの機能をiPad ProまたはiPhoneの下位機種(iPhone 8s?)に搭載するのだろうけど、iPad ProへのFace IDの搭載はないかもしれない。3D Touchが今でもiPad Proに搭載されていないことが根拠だ。
初期のiPhoneとiPadはほとんど同じ機能で、異なるインターフェイスで混乱しないようにAppleも同一機能の維持を続けていた。そのあとiPadが高性能化し、PCの代替としての役割を求められるようになると、iPhoneとiPadの機能はハード・OSともに分岐していった。
画面が大きいiPadでは3D Touchのようなショートカット機能は不要で、マルチタップジェスチャーとApple Pencilで代替できた。
Face IDも限られたiPhoneのサイズを有効的に利用するためにホームボタンを廃止した結果生まれたソリューションだ。サイズが大きいiPadではホームボタンをなくすメリットは小さい。全画面のタブレットは見栄えは良いが、持ち手を置く場所がなくなる。
ワイヤレス充電も大型タブレットでは搭載するメリットは小さいだろう。
iPhone 8sは?
iPhone下位機種へはFace ID、ワイヤレス充電は搭載されるに違いない。おそらく今年のiPhoneの目玉になるはずだ。
OLEDだけは供給とコストの問題で下位機種には搭載されず、iPhone X(今年の名称はどうなるのか?)の差別化に使われると思われる。製品単価をさらに上げるためにiPhone Xが廃止され、通常のナンバリングiPhoneが昨年のiPhone Xと同等の機能を持つ可能性もあるが。
iPadはひたすらPCへの道を歩む
iPhoneがApple Pencilに対応しないように、AppleはiPhoneとiPadを明確に分けている。iPhoneの機能がiPadに付与される段階は終えて、iPadはiPhoneと袂を分かち、PCの代替への道を進み続けることになる。