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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

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2018年のAppleを振り返る。2019年の課題は?

Appleの2018年を振り返る。

いつの間にか今年も年末。株価暴落など穏やかではない世相だが、Appleとしても激動の2018年だったと思う。年末らしく、2018年のAppleを振り返り、来年の課題を考えたい。

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大量の新製品

2018年、過去にないほど多くの製品をAppleは発表した。

  • 3月 9.7インチ新型iPad
  • 6月 WWDC。iOS 12、macOS Mojave発表
  • 7月 Macbook Proアップデート
  • 9月 iPhone XS / XS Max / XR, Apple Watch series 5発表
  • 10月 新型iPad Pro、MacBook Air、Mac mini発表

毎年新製品を発表してきたiPhone、Apple Watchだけではなく、iPadシリーズ、Macの新製品も登場した。長らくアップデートされずに放置されてきたMacBook AirとMac miniの新製品には驚いた。今まではアップデートされないまま、そのままフェードアウトするAppleの製品も多かった。

12インチMacBookや13インチMacBook Proとディスプレイサイズが近いMacBook Airは、モデルチェンジしないままなくなると考えられていたが、フルモデルチェンジを果たした。

さらに驚いたのは12インチMacBookも併売になったことだ。12・13インチのノートブックは、MacBook、MacBook Air、MacBook Proの3モデルが併売されている。少数の厳選したモデルを販売し、高い利益率を上げてきたAppleにとって大きな方針転換だ。

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似通ったiPhoneの3モデル

iPhoneも例外ではない。フルディスプレイの3モデルを今年発表した。3モデルを同時に発表したのは昨年のiPhone X、iPhone 8 / 8 Plusと同じだが、今年のiPhoneはすべてフルディスプレイで、ディスプレイサイズ以外の性能は似通っている。iPhone XRはシングルカメラ・液晶ディスプレイという点はiPhone XSとは異なるが、ユーザーが体感できる機能に大きな差がない。たとえば、iPhone XSの売りであるボケ補正はiPhone XRでも実現可能だ(Google Photoを使うとiPhone Xでもできてしまうが)。

iPhone XRはミドルサイズのスマートフォン市場を狙った製品だ。今まではiPhone SEのようにディスプレイサイズもデザインも大きく異なる製品をこの市場に投入していたが、iPhone XRはハイエンドモデルのiPhone XSに近い。

スマートフォンの機能向上が頭打ちになり、Appleのブランドイメージを保ちながら、ハイエンドとミドルレンジの差別化が難しかったのが理由だが、今までのAppleなら旧モデルのiPhoneでこのエリアを賄ったと思う。

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モデルチェンジされなかった製品

一方で、新型AirPodsやAirPowerは発売されず、スマートスピーカー市場で苦戦するHomePodは限られた国と地域でしか販売されていない。AirPowerは2018年内の発売を2017年に公表したにもかかわらず、ついに登場しなかった。

3つのデバイスを同時に充電できると発表されたAirPowerは開発困難で販売が延期になっているという。Siriで先行したはずの音声アシスタントはAmazonのAlexa、Googleに遅れをとるようになってしまった。

ハード、OS、ソフトを一括して開発販売することで高い製品品質とブランドイメージを維持してきたAppleだが、パーソナルコンピュータからスマートフォン、タブレット、スマートスピーカーと拡充したラインナップを維持するのは難しい。AirPowerの販売延期は、多くのラインナップを開発・アップデートする能力がAppleに不足している証明かもしれない。

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新しい柱であるサービス

Apple MusicやiTunesなどのサービス事業はiPhoneに続く売上げ額を誇っている。Apple全体の約6割の売上げを担っているiPhoneがAppleの経営を支えている現状を変えるためにAppleはサービス事業の拡充を目指している。

Apple MusicはAmazon Echoへの対応を開始した。自社で全てを囲う今までの垂直統合モデルとは異なり、他社製品でも自社サービスを使えるようにすることで、自社サービスのシェアをさらに増やそうとしている。

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Apple Storeの新店舗

今年、Appleは国内に新宿と京都に新しい店舗をオープンした。休業していたApple渋谷も10月にリニューアルオープンを果たした。来年にはApple川崎のオープンが噂されている。

Appleストアの拡充は、Apple製品の売上とブランドイメージ向上を目指している。アメリカ国内ではAppleストアの床面積当たり売上は全小売店の中で1位だ。プログラミング講座など多くのイベントをストアで開催することで地域との結びつきを強めている。

これは日本だけではなく、全世界統一の戦略だ。自社ストアをここまで成功させたメーカーは存在しない。

ライバル企業との競争が激化する中、AppleストアはAppleの大きな武器として機能するだろう。

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2019年Appleの課題

iPhoneの売上減退が噂され、Appleの株価は大きく下落した。スマートフォンの機能が頭打ちになり、過去モデルとの差別化が難しくなっている。iPhone XとiPhone XSの機能は、買い替えを喚起するほどには差がない。

スマートフォン市場が飽和し、販売台数も伸びていない。機能が変わらず買い替え需要が起きず、市場も拡大しなければ、売上げが増えないのは当然だ。

全売上の6割を占めるiPhoneが売れなければAppleの経営は深刻なダメージを受けることになる。それを予測して、Appleは施策を打ってきた。

Mac、iPhone、iPadで過剰なまでに多くの製品を販売したのは、飽和した市場で少しでも多くのシェアを握るための戦略だ。

ハードの販売低迷をカバーするために、サービスの拡充に注力してきた。Appleの「武器」であるApple Storeの拡大に努め、さらなるブランドイメージの向上を図っている。

ただ、それだけでiPhoneの売上低迷を補填できるとは思えない。ユーザーがAppleに求めているのは画期的なデザインと機能だ。高いブランドイメージを土台にした、他社に真似できないクールな製品をユーザーは希求している。現に、Appleらしい製品であるAirPodsは発売から1年以上が経過しても売れ続けている。

画期的な製品を世に送り出すためには、開発能力を今までよりも上げる必要がある。元GoogleのAI開発トップを引き抜き、11月にはAIのスタートアップ企業を買収した。画期的な製品を開発するために、AIがひとつの鍵だとAppleは考えているのは間違いない。逆に考えると、現時点でのハードでの差別化が難しいとAppleは考えているのだろう。

一方で、モバイルCPUに続き、AppleはGPUも自社開発しようとしている。また、モバイルCPUを将来的にMacにも活用すると言われている。自社で開発製造することでコストを削減し、他社と差別化を図ろうとしているのだろう。

Appleが打っている施策がiPhoneの売上低迷をどこまでカバーできるか注目だ。