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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

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ハウステンボス「変なホテル」に泊まってIT的にレビューしてみた

変なホテルに泊まった!

長崎ハウステンボスへ行く機会があった。せっかくなので前から気になっていた「変なホテル」に泊まってみた。

変なホテルとは、HISグループが展開する、ロボットを使って人件費を削減し安価な宿泊料金を実現した未来型ホテルだ。

長崎県ハウステンボスにオープンした後、千葉県浦安、愛知、東京と全国各地に展開している。筆者が宿泊したのは最初にできたハウステンボス内のホテルだ。

受付ロボットは飾り

変なホテルに入館すると最初に目につくのはフロントに並ぶ恐竜と女性型ロボット。中央の女性ロボットは「ゆめ子」さんというそうだ。

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ロボットの前に立ち、タッチパネルで「チェックイン」を選択すると、チェックイン作業を開始する。ロボットの音声ガイダンスに従い、いくつかの項目をタッチして電子ペンでサインを行うと完了。カードキーが出力される。タッチパネルではなく、空中に投影した映像を触るスタイル。机にキーを投影するそんなキーボードがありましたね。

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カンの良い人ならわかると思うが、チェックインするのに、この恐竜ロボットは不要だ。ロボットがいなくても作業を完了できる。タッチパネルによってセルフでチェックインできるビジネスホテルなどいくらでもある。

ロボットは、無人で殺風景な風景とやりとりを緩和してくれているに過ぎない。

たしかに生き物型のロボットがあることで、ただのコンピュータを操作しているのと違い、コミュニケーションが生じている気はするが、機能としては全く意味がない。

Pepperと同じ年に誕生

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これはソフトバンクが売り出したPepperと同じだ。Pepperは音声認識システムとタッチパネルがあればロボットの格好をしている必要はない。Alexaを内蔵したタッチパネルとできることはあまり変わらない。

「変なホテル」オープンとPepper発売は同じ2015年である。まだGoogle homeもAlexaもなく、iPhoneにむかって「Hey Siri」と話しかけるのが恥ずかしくてあまり使われていない頃だ。

あの頃であれば、話しかけやすいヒューマン型(恐竜でもいいけど)のロボットの存在意義はあったが、2018年の我々はスピーカーに話しかけるのにも慣れてしまっている。

店頭にあったPepperが徐々に姿を消しているように、「話しかけやすい」だけの目的から次の段階に接客ロボットは進化すべき時期だろう。

びっくりするほど認識しない「ちゅーりーちゃん」

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客室に入ると、「ちゅーりーちゃん」というロボットが置いてある。電気をつけたり、天気を教えてくれたりする。要はAlexaだ。ただ、音声認識能力はAlexaとは比較にならない。

定形の言葉しか認識しないにもかかわらず、その言葉をなかなか認識してくれない。特に娘の声では、ウェイクワードである「ちゅーりーちゃん」でさえ何度も言わないと駄目だった(自宅ではAlexa、Google homeもほぼ一発で認識する)。

「ちゅーりーちゃん、クイズをだして」と言うと、都道府県を当てるクイズを3問だしてくれるのだが、すべて正解しても「全問不正解でーす」と言われてしまう。

ちゅーりーちゃんがアップデートされているかどうかしらないが、ちょうど3年前のSiriがこれぐらいの音声認識だったように思う。

実用的だった顔認証

変なホテルの客室は顔認証で解錠できる(カードキーでも可)。カードキーをタッチして、顔を撮影すると登録完了。

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次回からはタッチパネルに触れて、カメラを見て認証されれば鍵が開く。

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これは、なかなかの認識率で、実用に足りているように思えた。試しにスマートフォンの顔写真でセキュリティを突破しようとしたが、認識しなかった。ホテルの入室にカードを取り出してかざすのは面倒なので、他のホテルにも広まれば良いと思う。

顔の登録作業は、チェックイン時ではなく、あとでドアの前で行う。チェックイン時に行うとフロントが混むからそうしたのだろうけど、ドアの前で顔を登録する作業をおこなうのは、ちょっと滑稽だ。

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2016年に増築された棟。華美ではないがシンプルできれい

実用的とは思えないロボットクローク

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ロボットが手荷物を預かってくれるクロークがある。24時間で500円と有料。コインロッカーのほうが普通に早いし、普通のホテルなら無料でクロークが預かってくれる。

工業用ロボットを改良したらしく、見た目のインパクトは良いけど、実用度は??

Amazon Goが国内にもあった

ポーターロボット

変なホテル内にはコンビニもある。店員はおらず、無人コンビニだ。無人コンビニというとAmazonの無人スーパー「Amazon Go」を思い出すが、変なホテルのスマートコンビニはその簡略版といえる。

入退室は顔認証で行い、入室すると鍵が締まり、クレジットカードで精算しないと退室できない。ちなみにAmazon Goは入室時にスマホをタッチすればよい。もちろん施錠されることはない。

クレジットカードの認証をしないと退室できないので、万引きしづらい(レジを通さないで商品をとれば万引きできるが、あとで発覚すれば顔認証しているので確実に捕まる)。

面白いのは、購入商品の読み取りをバーコードではなく画像認識で行うこと。レジのトレイに商品を置けば画像認識で何を購入したか把握して、合計金額を表示してくれる。

コンビニといっても、商品点数は少ないので実現できているのかもしれないが、商品ひとつずつバーコードをかざさなくてよいのは、なかなか便利だ。

出入りがはるかに激しい通常のコンビニに転用するのは難しいと思うが、ホテル内などのミニコンビニなら実用的だと感じた。

調べたら、NECが開発したシステムを使っているそうだ。

変なホテルは安いの?

変なホテルのセールスポイントは人件費削減による低コスト・低価格な宿泊料金だ。本当に安いのか調べてみた。

今日(2018年9月3日)宿泊料金を調べると、20平米の部屋大人二人平日で13,400円。ハウステンボスに隣接する「ホテル日航ハウステンボス」が22平米大人二人平日で16,667円。確かにちょっとは安いが、少し離れた場所にある普通のビジネスホテルならもっと安い宿もあるだろう。安さを求めるよりも、テーマパークの一種として楽しみながら泊まるのが正解に思える。

変化するホテル

話の種に泊まってみたが、思ったより面白かった。認識しないちゅーりーちゃんは困りものだったが、最新の音声認識技術を導入すれば(Alexa内蔵で良いと思う)、十分実用的だ。

今はまだ「面白いホテル」のレベルだが、このまま進化を続ければ「便利なホテル」になれると思う。「変なホテル」は「変わっているホテル」ではなく「変化し続けるホテル」という意味だから。