Appleのサードパーティ製事情
Appleがサードパーティ製アプリと自社アプリの人気を調査した報告書を発表した。アメリカと他の地域を比較したデータもあり、結構興味深いので日米のアプリ人気度を比較しながら見ていきたいと思います。
コミュニケーション
コミュニケーションアプリでは、日米の違いがはっきり出ている。日本ではLINEの利用者が多く、純正アプリである「電話」と「メッセージ」の利用者が少ない。アメリカでは純正アプリをそのまま使っている人が多い。ヨーロッパはアメリカと似た傾向だが、WhatsAppの利用者も多い。
LINEを使っている日本の特殊性がよくわかる。
ミュージック
音楽アプリも日本は特徴があり、Apple Musicが首位になっている。今度は日本の方が純正アプリとサービスが強い。アメリカをはじめ、ヨーロッパではSpotifyが優位だ。Apple Musicが最も成功した国は日本のようだ。
日本いると意外に思えたのが、アメリカのAmazon Musicの低調さだ。日本でもそれほど強くはないけど、アレクサ経由で使っている人がもっと多い印象だった。これはiPhoneにインストールされたアプリのランキングなので、アレクサだけでサービスを使っている人はもっと多いのかもしれない。
地図
地図では、日米ともGoogle Mapが首位で、純正アプリ「地図」が2位なのは変わらないが、日本では標準アプリである「地図」は人気がない。というより、「地図はGoogle」という印象が強すぎる。Appleの地図は以前不正確なこともあり、印象が悪い。日本ではGoogleのサービスへの信頼性の高いのがわかる。
ビデオ
ビデオアプリは日米で大きく異なる。アメリカではNetflixのシェアが圧倒的だ。ヨーロッパ、オーストラリアでもその傾向は変わらない。ところが日本だけはAmazon Primeのシェアが突出している。Amazon Primeの月額料金が日本は安いことが影響していると思われる。
また、日本はAbema、TVerという日本固有のアプリも強い一方で、Apple TVが非常に弱い。Amazon PrimeやNetflixが日本向けコンテンツを多数制作しているのに、Appleはグローバル向けのコンテンツがほとんどだからか。
読書
読書アプリも日本は特徴的だ。日本は漫画専用アプリがランキング上位を占めている。さすが漫画大国。欧米ではWattpadが首位で、Kindleが2位だ。Wattpadは、無料の執筆サイトで、日本でいえば「小説家になろう」のようなサービスだ。読者と作者の距離も短く、チャットなどで読者とコミュニケーションを取りながら小説を書くことができる。
日本は健全?ガラパゴス?
日本で人気のアプリを各国と比較してみた。日本で人気のアプリはベンダーに依存していないのがよくわかる。コミュニケーションはLINE、ミュージックはApple、地図はGoogle、ビデオはAmazonと、開発ベンダーは多種多様だ。海外と比較しても、特徴的なシェアが多い。
多様性があるのは面白いが、残念なのは日本企業が少ないことだ。国産ベンダーのサービスプラットフォームが弱いことがよくわかる。
Piccomaは韓国製だし、LINEも半分韓国資本のままだ。後のアプリは全てアメリカ製。日本市場は特殊だと昔から言われているが、アプリについてグローバル化がしっかり進んでいる一方で、市場の占有率が他国と違うのが面白い。
コンテンツ事業はいかに日本人が好むコンテンツに合わせるかが勝敗を握りそうだ。