iPhone XR誕生
iPhone初の”R”モデルiPhone XRが登場した。iPhone 9と噂されていたようにiPhone 8の後継モデルだ。iPhone 8ユーザーがiPhone XRに買い換えるべきか比較してみた。
iPhone 8 Vs. iPhone XR
iPhone XRは、今年一番の注目モデルだ。
iPhone XRの一番の特徴は、最上位モデルではないのにほぼすべての機能が使える点だ。OLED、デュアルカメラ搭載のiPhone XSと比較すると、iPhone XRは液晶でシングルカメラだが、Face ID搭載のフルディスプレイモデルで、カメラ性能もスペック上は遜色ない。
外観
ホームボタンがなくなり、フルディスプレイモデルに変わった。OLEDモデルのiPhone XSより、液晶モデルのiPhone XRの方がベゼルは少し太い。アルミニウム製のフレームに背面のガラス素材はiPhone 8から変わらない(iPhone XS系のフレームはステンレススチール)。
カメラの位置は変わらないが、フラッシュがカメラレンズの横から縦に移動した。レンズのフィニッシュも変わり、iPhone 8はレンズにリングをはめた形だったが、iPhone 8 XRはレンズごとはめたような形だ。
サイズ
ポジション的には、iPhone XRはiPhone 8の後継だが、サイズは全く異なり、一回り以上大きい。サイズ感としては、iPhone XRはiPhone 8 Plusの方が近い。
iPhone 8と似たサイズへの買い替えを望むなら、iPhone XSの方が妥当だろう。
iPhone 8 | iPhone 8 Plus | iPhone XR | iPhone XS | |
高さ |
138.4 mm
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158.4 mm
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150.9 mm
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143.6 mm
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幅 |
67.3 mm
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78.1 mm
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75.7 mm
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70.9 mm
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厚さ |
7.3 mm
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7.5 mm
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8.3 mm
|
7.7 mm
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重量 |
148 g
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202 g
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194 g
|
177 g
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高さ(iPhone 8との比較) | 0 | +20.0 mm | +12.5 mm | +5.2 mm |
幅(iPhone 8との比較) | 0 | +10.8 mm | +8.4 mm | +3.6 mm |
厚さ(iPhone 8との比較) | 0 | +0.2 mm | +1.0 mm | +0.4 mm |
重量(iPhone 8との比較) | 0 | +54.0 g | +46.0 g | +29.0 g |
iPhone XRはiPhone 8より1 mm厚い。46gも重いので、体感でわかる大きさと重さだろう。サイズはiPhone 8から買い換える際の大きな違いなので、事前に店頭で確認することをおすすめする。
カラー
iPhone XRの特長の一つがカラーバリエーションの豊富さだ。iPhone XRの6色はiPhone史上最多のカラバリ。過去にはiPhone 5cという5色の製品もあったが、バックパネルはカラフルでもフロントパネルがブラック一色だったのが悪かったのか、あまりヒットしなかった。
iPhone XRはフルディスプレイなので、フロントパネルが存在しないし、横のフレームもバックパネルのカラーに合わせる凝りよう。ただ、フロントパネルがないとカバーをつけてしまうと外装色はほとんど見えない。
ディスプレイ
iPhone XRの方が圧倒的に大きい。6.1インチはiPhone 8 Plusの6.5インチをも上回るサイズだ。同じ液晶モデルだが、iPhone XRの液晶はLiquid Ratina HDディスプレイという名称になっている。
両モデルとも326ppiなので、サイズが大きいだけでスペック的にはiPhone 8とiPhone XRのディスプレイに変わりはない。
iPhone XRは3D Touchが廃止になっている。Appleのコメントはないが、厚みと重量増を気にしたと思われる。 3D Touchに慣れている人は注意したほうがいい。
Face ID
Touch IDからFace IDに変わった。
Face IDの利点は指が濡れていても使えることだ。一方で、アンロックするのに、視線を画面に向けないといけない、ホームバーの上スワイプが必要、寝起きの顔で認識しない場合がある、マスクは不可など、Face IDには不利な点も多い。
Touch IDよりFace IDが便利というよりは、フルディスプレイを実現するためにFace IDを採用しなければならなかった意味合いのが強い。
iPhone XRに買い換えると最初に戸惑うのがFace IDだと思う。将来的にはディスプレイ上での指紋認証に戻るかもしれないが、AppleはFace ID実現に莫大な開発費用を掛けているので、そう簡単には廃止できない。
今後もiPhoneを使い続けるなら、Face IDに慣れないといけないかもしれない。
基本性能
iPhone XRは次世代チップ「A12 Bionic」を内蔵している。A11より最大15%高速、グラフィック性能は最大50%アップになったらしいが、体感できるかはわからない。
A12 Bionicは省電力にもなっていて、大型サイズでバッテリー容量も増えているので、iPhone 8よりバッテリー駆動時間がかなり伸びている。iPhone 8 Plusよりも最大1.5時間バッテリー駆動時間が長く、今までiPhone 8を使っていた人からすると充電頻度が大きく変わることになる。
カメラ
両モデルとも同じシングルカメラだが、iPhone XSと同様にiPhone XRは進化したボケ効果と撮影後の深度コントロールが使用できる。シングルカメラでボケ効果が実現できるのは、A12 Bionicを使ったニューラルエンジンの効果だ。
デュアルカメラのiPhone XSと画質にどれぐらい違いがあるか撮影してみないとわからないが、フラッグシップと同じ機能をiPhone XRにもたせたのには驚きだ。
今回iPhone XSのわかりやすい売りである「ボケ効果」をミッドレンジモデルであるiPhone XRにもたせてしまえば、iPhone XRに人気が集中する危険性がある。AppleはよっぽどOLEDに自信があるのだろう。
ビデオ撮影
拡張ダイナミックレンジの採用で暗い場所での動画撮影ができるようになった。4つのマイクでステレオ録音ができるようになった。
防水性能
iPhone XRはiPhone 8と同程度の防水性能をもつ。iPhone XS、iPhone XS MaxのIP68より劣る。
デュアルSIM
デュアルSIMに対応してきた。DSDS(Dual SIM Dual Stand-by)に対応しているので、両方のSIMの電話番号で着信することができる。
ただし、中国以外の国では二枚目のSIMはeSIMのみなので、キャリアが対応してくれないと使用できない。日本国内のキャリアは対応しないのでは?(ソフトバンクは対応するかもしれない)
予備電力機能付きエクスプレスカード
iPhone XRには「予備電力機能付きエクスプレスカード」の表記がある。字面からは、iPhoneのバッテリーがなくなっても、エクスプレスカードは使えるように解釈できる。今回の新モデルすべてに同じ記載があり、iPhone 8はただの「エクスプレスカード」としか記載がないので、明らかに異なる機能が付与されたと思われる。
同梱物
今まで同梱していたLightning-イヤホンアダプタがなくなった。
確定事項のように言われていた充電アダプタのUSB-C仕様への変更はなく、従来どおりUSB-A仕様。
価格
iPhone XRは64GBで84,800円。iPhone 8は78,800円だった。大型フルスクリーンディスプレイに、iPhone XSにも迫るカメラ機能の割には値ごろ感がある戦略的な価格だと思う。
iPhone 8ユーザーだけではなく、それ以前のモデルからの買い替えるユーザーの人気がiPhone XRに集中すると思われる。
まとめ。名より実を取るiPhone XR
途中でも触れたが、iPhone XS系の売りであるカメラ機能を付与するなど、iPhone XRはかなり挑戦的なモデルだ。液晶モデル、シングルカメラだけでスペック的には負けていないiPhone XRは”名より実を取る”モデルだと思う。
iPhone 8からの買い替えで気になるのは、サイズ感だろう。iPhone 8 Plusに迫るサイズと重量は、今までノーマル系のiPhoneを使い続けた人は違和感を覚えるに違いない。
サイズが気になる人はiPhone Xが選択肢になるが、iPhone Xは112,800円なので、iPhone XRより28,000円高い。
お手頃な価格でiPhone 8と同じサイズを求めるなら、中古のiPhone Xが選択肢に入る。iPhone Xがカタログ落ちしたのが残念だが、中古でも良いという人は考慮しても良いかもしれない。