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Appleが独占できなかった分野から見えてくる失敗の法則

絶好調なApple

Appleの直近の決算は売上が前年同期比プラス21%、純利益がプラス29%、時価総額も世界一と絶好調だ。 

注目すべきは、iPhoneだけではなく、iPad、Mac、サービスと全てのカテゴリーで伸びている点だ。iPhone偏重のビジネスからの転換にも成功している。

一方で、Appleがシェア獲得を失敗した分野もある。Appleがうまくいかなかった(うまくいっていない)分野からAppleが失敗する原因を考えてみます。

スマートスピーカー

Appleは「Siri」で音声認識システムを世間に紹介したが、本格的に普及させたのはAppleではなくAmazonだった。スマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズは大ヒットし、世界中の部屋に置かれるようになった。

Amazonよりずいぶん遅れたが、Appleもワイヤレススピーカー「HomePod」を発表した。Appleはスマートスピーカーではなく高級ワイヤレススピーカーとしてHomePodをアピールしたが、3万円を超える高価格と大きなサイズがネックとなり、ヒットしなかった。Amazon Echoが4000円台で買えるのとは対照的だった。

11,800円の低価格と小さなサイズを実現したHomePod miniを発表して、シェアを広げようとしているが、Amazon Echoとの差は大きい。

スマートスピーカーでAppleがシェアを握れなかったのは、どうしてだろう。最も大きな理由は、Amazonとの方針の違いだ。Amazonはハードウェア製品で大幅な利益を取るのではなく、サービスと物販で利益を得るのが主眼で、ハードウェアの価格はかなり抑えている。

Appleは数よりも利益を重視する方針を昔から続けており、スマートスピーカーでも高い利益率を維持するために高価格な設定にした。その結果、シェアを取れずHomePodは製造停止に追い込まれた。

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Apple TV

AppleのサービスやiPhoneの画面をテレビに投影できるApple TV。AmazonのFire TV、GoogleのChromecastに比べて存在感が薄い。

Apple TVは2006年発売で、Fire TVの発売は2014年なので、Apple TVの方が先行していたが、Apple TVはFire TVよりも高価で、サイズも大きい。Apple TVはラックなどに置く仕様になっているが、Fire TVはHDMI端子に直差しできるので場所を取らない。5000円以内で買えるFire TVと15,000円を超えるApple TVとの価格差は大きい。

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AirPower

マルチデバイスを充電できるAirPowerはAppleが開発を発表したのに発売しなかった珍しい製品だ。理由は明らかになっていないが、どこにデバイスを置いても充電できるAirPowerの仕様を実現するためには複数のコイルを内蔵する必要があり、コイルからの熱処理と高コストが祟り製品を販売できなかったと思われる。

ユーザーがストレスなく使えるようにテクノロジーを駆使するのがAppleのやり方だが、それがうまくいかなかった例がAirPowerだ。

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Apple失敗の法則が見えてきた

3製品を見てきたが、Apple失敗の要因が見えてきた気がする。

まずは高価格。Appleは安売りして数を売るのではなく利益を優先してきた。だから、HomePodとApple TVがシェアを取れないのは当然の話だ。

高利益率はAppleの伝統だ。昔から安売りせずに高いブランド価値を維持してきた。WindowsがPCのデファクトスタンダードになる中、iMac以降のMacがシェアを追うことはなかった。

一時期はWindowsに押されて経営不振に陥ったAppleは安売りするためにMacのコンパチモデルを提供し、大失敗したことがある。ジョブズが復帰して、コンパチ機を廃止し、高いブランド価値を高める方針へ転換した。

例外はiPhoneの成功だ。iPhoneも従来の携帯電話よりも高価だったが、他社の機種に比べられないほどに高性能で斬新だったiPhoneは大ヒットし、トップシェアを獲得することになった。

他社よりも高い価格設定を維持したままシェアを握れたiPhoneはAppleの歴史の中でも画期的な製品となり、Appleの企業規模を急拡大させた。

HomePodとApple TVが売れなかったのは、iPhoneほどに斬新な製品ではなかったとも言える。

AirPowerの開発中止は、Appleの理想を技術的に実現できなかった例だ。Appleはシンプルでストレスフリーという理想を実現するためにテクノロジーを用いる。例えばホームボタンを無くしてフルディスプレイを実現するために、複数のカメラで顔を認証するFace IDを開発した。

技術と理想がうまくマッチした時には成功するが、理想を実現できないと失敗に終わることもある。

妥協して、理想を曲げれば「普通の製品」を販売できるのだろうが、それではAppleのブランドを維持できない。

今後も、Appleは成功と失敗を繰り返しながらも、ブランドと利益という基本は維持していくのだと思う。

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