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GAFAがアメリカ大統領を決めるのか。ビッグブラザーよりも怖い企業の権力

強大化するGAFA

GAFAことGoogle、Amazon、Facebook、Appleの力がここにきて強まっている。

コロナ禍下の巣ごもり消費でGAFAの売り上げが伸びて、それに連れて時価総額が上昇している。コロナの影響で他の産業が落ち込んでいるので、株式市場の中でGAFAの時価総額が占める割合が相対的に増している。

リアル経済がネットに移行しているのが大きな理由であり、動画や音楽、ショッピングとあらゆる分野でリアルからネットへの移行が進んでいる証左なので、致し方ないところもある。

ただ、経済的なパワーだけではなく、政治を左右する力をGAFAとIT企業が持ち始めていることが問題になってきている。

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白熱するアメリカ大統領選挙

11月3日のアメリカ大統領選挙投票日に向けて、トランプ大統領とバイデン前副大統領が激しい選挙活動を繰り広げている。

史上最低と言われたテレビ討論会や地方遊説だけではなく、選挙活動の主戦場の一つがネットの世界だ。広大なアメリカでは全国を遊説するのも大変なので、ネットでの世論が選挙行動に大きく影響する。

トランプ大統領がTwitterで連日連夜ツイートしているのは有名だが、そのうちのいくつかがフェイクニュースだとして、リツイートしづらくするように制限を加える仕様にTwitter社は変更した。

先週は、トランプ選対本部のツイート機能を一時制限した。ニューヨーク・ポストが報じたババイデン大統領候補の息子の疑惑がフェイクニュースの疑いあるとしてTwitter社は関連のツイートを制限した。Facebookもこの内容の拡散を制限を始めた。

確かにニューヨーク・ポストの記事は、持ち込まれたPCにバイデン氏の長男に関する情報が入っていたという、にわかには信じづらい情報ではあるが、問題は私企業であるTwitterやFacebookが大統領選の行方を左右するような決断ができてしまうことにある。

日本ではトランプ大統領は悪だという論陣を張るマスコミが多いので、トランプが言っていることは全て虚偽で、バイデンは全て正しいと思い込んでいる人が多いと思う。

アメリカでもいわゆるエスタブリッシュ系のメディアはトランプ批判を繰り返しているが、その状況下でも半数に迫るアメリカ国民がトランプ大統領を支持していることを忘れてはいけない。

フェイクかどうかの検証こそメディアの仕事だと思うが、その作業を緻密に行うことを放棄して、世論の動向に影響を与えるのは非常に危険だ。

別にトランプ大統領を支持しているわけではなく、私企業が強大な力を持ち政治に影響を与えることを懸念している。

日本ではテレビメディアは国から電波を借りていることもあり、公平中立な報道が求められている。法律はなくても、メディアが事実に基づいた報道することは当然であり、偏向したメディアは厳しく批判されたり、レッテルを貼られたりする。

アメリカには共和党支持のメディアもあれば、民主党支持のメディアもあり、大体態度を鮮明にしている。大統領選挙前にどちらの候補を支持するか表明するのが恒例になっている。メディアごとの報道姿勢を理解することで国民は情報取得のバランスを取ることができる。

しかし、SNSの場合は、そういった姿勢が見えづらく、かつ代替がない。Twitter社がTwitter上でのトランプの選挙活動を制限するときに、影響の大きさや可否をどこまで慎重に議論したか見えづらい。選挙に与える影響も新聞などに比べて歴史が浅いので、どういうステップで選挙活動に影響を与えるのが適切なのか見えてこない。こういった中でのTwitter社の制限についてトランプ大統領は裁判に訴えることを示唆している。

もう一つメディアとSNSが異なるのは、ひとつのサービスが力を持ちすぎることだ。Twitterが使えないからといって別のサービスを使いづらい。Twitterは不特定多数に情報を気軽にシェアする唯一無二のメディアになりつつある(特にアメリカでは)。

Facebookも同様だ。Facebookに対抗する規模の同じようなサービスは存在しない。両社に限らずITサービスというのは一強になりがちで、またそれを制限する法律がない。

今のところ日本でいう独占禁止法も適用されていない。適用するかどうかの議論はあるので、将来はわからないが、新たなサービスが次々と生まれている現状、どのサービスが排他的独占に当たるのか判断が難しい。

メディアであれば、共和党系のFOXニュースと民主党系のCNNを見比べて、どちらの政党が優れた主張をしているかわかるが、一強であるTwitter社が制限を加えれば、そういった議論を多くの人が触れる機会が失われ、一方の情報しか流れなければ情報の偏向が起きる。

繰り返すが、私企業であるTwitter社の制限を止めることは現時点では難しい。

政府の強権も恐ろしいが、企業の強権も恐ろしい

ビッグブラザーに象徴されるように政府が言論統制するのも恐ろしいが、現時点では政府の権力は法律によって慎重に制限されている。しかし、企業が行う「言論統制」を取り締まる法律はない。報道の自由というのは民主主義の重要な要素なので、制限をかけられないのだ。

議論百出する新聞などのメディアは一強にはなりづらいが、ITサービスは一強になりやすい。

TwitterやFacebookなどは見方によっては、そのジャンルを独占しているとも取れる。日本でいう独占禁止法に当たるかどうかは、大統領選挙後に議論が活発化すると予想されている。

企業分割などの措置が取られるかどうかはわからないが、企業が政治に大きな権力を持たないように何らかの対策は必要だと思う。

 
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