MacBook AirがMacbookに?
Macbook Airが来年Macbookと改名してモデルチェンジするという報道があった。2019年に販売終了になって以降、Macbookという最もスタンダードな名称のノートPCは存在せず、Macbook Airは事実上、標準機のポジョションにあったので、Airが外れるのは妥当な判断だと思う。
最近のAppleの命名規則がどうなっているか考えてみます。
重用される「Pro」意味合いが変わった「Air」
「MacBook Pro」「iPad Pro」「iPhone 13 Pro」と、最近のAppleは「Pro」にご執心だ。iPad AirがiPad Proの性能を上回ったり、Macbook ProとMacbook Airの性能が似たりよたったりだった時期もあったが、現在はiPad ProにM1、MacBook ProにはM1 PROとM1 MAXが搭載され、「Pro=最高性能モデル」のシンボルになっており、意味づけは非常に明快だ。
Proモデルといえば「AirPods Pro」もある。ノイズキャンセリング機能付きのAirPods Proは最強のモデルであることに異論はない。
一方で、「Air」の意味は曖昧だ。Apple製品で最初にAirが使われたのは「MacBook Air」でジョブズが封筒から取り出したくさび形のノートPCは印象的だった。そのときのAirは薄くて空気のように軽いという意味で使われていたが、現在のAirは「軽量」という感じがあまりしない。
10インチ前後のiPadの中でiPad Airは最も軽量だが、iPadの重量はiPad Proとほとんど変わらず、厚さではiPad Proの方が薄い。
現行Macbook Airは2020年発売で、現在も併売している13インチMacbook Proよりも軽いが、最も厚い部分ではMacbook Airよりも薄い。「Air」だから軽さに特化したモデルというようには現状なっていない。
「Max」の意味
最近のApple製品で目立つのは、「Max」だ。「iPhone 13 Pro Max」「AirPods Max」に続いて最高性能のAppleチップは「M1 Max」だ。
「M1 Max」の「Max」は「M1 Pro」以上の最高性能を意味している。AirPods Maxは確かに最高性能ではあるが、サイズも大きい。
「iPhone 13 Pro Max」の性能はディスプレイサイズ以外「iPhone 13 Pro」と変わらない。iPhone 13 Pro Maxの「Max」は、「iPhone 13 Pro」の「マックスサイズ」という意味だ。
M1 Maxも増えたコア数に応じてダイサイズも大型化している。「Max」は最高性能というより「最大サイズ」の意味合いが強い。
小型の「mini」、廉価版の「SE」
「mini」の意味は明確だ。「iPhone 13 mini」「iPad mini」「Mac mini」で分かる通り、「mini」は小さなサイズを意味している。iPhoneもiPadも性能が「mini」という意味はなく、iPhone 13 miniはiPhone 13との性能差はない。iPad miniは無印iPadよりも価格が高く、miniだから安いというわけではない。
「SE」はSecond Editionの略だという話もあるが、「廉価版」という意味で使われているように思う。iPhone SE、Apple Watch SEのいずれもシリーズの中で最も低価格だ。
Airの意味が微妙になった背景
Pro、Max、mini、SEに比べてAirの意味は曖昧だ。現行のAirモデルは他のモデルと比べて、圧倒的に薄くて軽いというわけではない。最近のデバイスの重量とサイズはバッテリーの容量が大きく影響しているからだ。
デバイスを薄くするためにはバッテリー容量を減らすのが手っ取り早いが、バッテリーを減らせば連続駆動時間は短くなる。軽さよりも連続駆動時間を維持する方が求められている。
iPhoneのminiシリーズの売上が芳しくないのも、バッテリー容量の少なさが原因の一つと思われる。
内部スペースの多くをバッテリーが占める現在のデバイスで、「Air」が目立った存在意義を発揮するのは難しいのかもしれない。そういった状況ではMacbook AirがMacbookに変更になるのは妥当だと思われます。