PCが売れていない!
PCが売れていない。昨年の国内PC出荷台数は、過去2番目の低さだった。昨年の出荷台数は約687万台で、過去最低だった2017年の約678万台に迫る低レベル。
よく言われるのは、コロナ禍での巣篭もり消費が一段落したこと、景気低迷による需要の減少、国内ではGIGAスクール需要が一段落したことが挙げられるが、今回のPC低迷は国内だけではなく、海外でも同様だ。PCを生産販売しているHPやDellは従業員5%に相当するリストラを実施した。
どうして、PCが売れていないのか考えてみます。
スマホ・タブレットのせい?
スマホやタブレットの人気がではじめたときは、PCがなくなり、スマホやタブレットが代替するといわれていた。ところが、家庭ではPCの代わりにスマホ・タブレットを使う機会は増えたが、企業ではPCで業務を行なうことが今でも多い。PCは無くなることがなく、タブレットのトップシェアであるiPadを販売するAppleも、新型Macの販売を継続している。
タブレットの出荷台数も増えていないので、スマホ・タブレットの影響で、昨年のPC出荷が減ったとは思えない。
不景気?
ウクライナ情勢やインフレの影響で、アメリカを中心に不景気の波が押し寄せている。特に、コロナ禍で成長したIT業界への影響は大きく、大手IT企業が相次いでリストラに追い込まれている。
IT企業自体がPCをよく使うので、リストラする状況なら当然支出も抑えてPCの買い替えを遅らせている。今日もマッキンゼー社が過去最大規模のリストラを行うと報道されている。
ただ、日本ではそこまでの状況に至っていない。景気が良いとは言えないが、株価も堅調だ。
進化しない性能
最も大きな理由は、現在使っているPCでユーザーが満足しているからだと思う。ここ数年のPCの進化は停滞している。CPU性能は向上しているが、数年前のPCを使っていても困ることはほとんどない。負荷が大きい新しい使い方が生まれていないからだ。
PCで唯一伸びているのは、ゲーミングPCだ。ゲーミングPCはハイスペックが求められるので、買い替え需要も大きい。ただ、多くのユーザーがゲーミングPCを欲しているわけではない。
だが、その他の用途はあまり変化がない。VRゴーグルをつけて仕事をしている人は少ないし、メタバースも流行らない。すでに行き渡っているPCが売れるには、買い替えを喚起する新しい使い方が必要だ。
求められる新たな使い方
PC需要が息を吹き返すには、買い替えを促すような新しい使い方が必要だ。それに一番近いのは、メタバースなのだろう。ただ、半導体不足もあり、メタバースに用いるVRゴーグルも高騰していて、普及価格帯には遠い。
周辺機器を使わない新しい使い方がPCの需要喚起には必要だと思う。