2018年PC業界
今年のPCの出荷台数は前年とほぼ横ばい。スマホとタブレットの流行で、家庭・ビジネス用のPCの出荷台数は長年減少し続けたが、ここ数年の台数は安定している。
タブレットがPCの代替にならず、特にビジネス用としての需要はあまり変わらない状態で落ち着いている。
トップ3は健在
安定してPCを供給しているのは、Lenovo、HP、Dellのトップ3企業だ。3社合計のシェアは5割を超え、市場の寡占化が進んでいる。シェアを握る3社はIntelなどから大量かつ安く部品を調達することで、他社よりもコストパフォーマンスが高い製品を販売している。
スマートフォンのように中国メーカーが台頭する様子はない(世界企業となったLenovoを除く)。ビジネス向けが多いPC事業はリセラーやチャネル販売が多く、他社が容易に組み込めない構造になっている。最近では、情報流出が懸念される中国メーカーが忌避される傾向もある。
2 in 1 PCは?
OS・ハードの垂直統合により新たな価値を創出するMicrosoft Surfaceは少しずつシェアを広げている。定期的に新しいWindowsを販売するモデルチェンジ商法が終わりを告げ、売り切りモデルだったOfficeがサブスクリプション版に移行を進めた中で、Surfaceは気軽で高品質なPCとして学生を中心に人気を集めている。
今年話題になったSurface Goは、iPad対抗としての地位を確保しようとしている。ただ、日本では旧来の商習慣であるOffice同梱を継続したため、高い値付けが逆に話題になった。
クラウドとAIビジネスにフォーカスする現代のMicrosoftがコンシュマー向けのSurfaceに対してどこまで本気かは不透明だが、ブランドイメージ浸透のためにも当面は事業を継続すると思われる。
Appleの動向は?
今年のPC業界の驚きのひとつは、MacBook Air、Mac miniのモデルチェンジだ。長らくモデルチェンジをしていない両モデルに新機種が登場したのは、AppleがMac事業に対して本気であることを窺わせる。
とは言え、Appleのシェアが大きく伸びるとは思えず、Intelなどから主要なパーツを購入して製造する現在のビジネスモデルでは、コストがかかり、利益がでない。
どこかで自社開発のARMベースのCPUへの移行が行われるのだろう。来年は、ARMベースのMacはまだ登場しないだろうが、その兆候は見られるかもしれない。
ゲーミングPCの存在
低成長のPC事業の中で、伸びているのがゲーミングPCのジャンルだ。eSportsが一般化しつつある中で、高性能高価格帯のゲーミングPCは、PCの中で数少ない成長分野だ。
もちろん、PC全体からしたら販売台数は少ないが、eSportsの流行が拡大すればゲーミングPCがさらに売れるようになり、各社の開発競争が激化し、より魅力的な製品が登場するだろう。
2019年のPC業界
来年のPC業界は、基本的に安定傾向が続くだろう。ビジネス用PCの代替ツールは現れず、「文房具」としてのPCは変わらず売れていくと思われる。
Microsoft、Apple、そしてゲーミングPCの動向は大きなPC業界の流れの中で、どこまで新しい波になるかが注目される年になるのではないか。