2018年のスマホ
今年のスマートフォンを一言で表すなら、「停滞」となると思う。内蔵カメラはデュアル化し、OLEDも一般化するなどスペック面での進化は著しい。
ところが、スマホ市場は拡大せず、買い替え需要も伸びないために、販売台数は頭打ちの傾向が強まった。
スマートフォンが以前のパソコンのようにスペックが向上しても、「やれること」が変わらず、ユーザーの興味が薄らいできている。
Appleの躓き
スマートフォンに大きな影響力を持つAppleは今年iPhone XS / XS Max / XRを発表した。昨年のiPhone Xに続く高い値付けと、代わり映えしないデザインと機能に買い替え需要は減退し、株価の低落を招いた。
来期からAppleはiPhoneの販売台数を非公開にすると発表しているので、台数がどれだけ下落したかわかりづらくなるが、サプライヤーからの情報ではiPhoneの台数大幅減少は事実のようだ。Apple自身が肯定するようにiPhone XRの実質値下げを実施した。
来年のAppleはiPhone事業をどのように立て直すかが注目だ。全体の売上の6割近くをiPhoneに依存するAppleにとって、iPhoneの売上は死活問題だ。
AIを用いた新しい使い方の提案ができるかどうかが鍵となる。
中国メーカーの台頭と懸念
今年スマートフォン市場で最も伸びたのは、Huawei、Xiaomiなどの中国・台湾メーカーだ。安価でスペック重視のHuawei、Xiaomiが大きく成長して割りを食ったのが同じアジアメーカーであるSamsungだ。Samsungは今年大きくシェアを落とした。
ここに来て、先進国の間でHuaweiの情報漏えいが大きな懸念となっている。
真偽の程はさておき 、世界の経済大国となった中国が一党独裁だというリスクを改めて感じた年となった。一方で、中国から話題は逸れるが、民主的な選挙で当選したトランプ大統領がアメリカだけではなく世界経済のリスクとなっているのは、また皮肉なものである。
2019年のスマートフォン
来年のスマートフォンは、PCと同様に「文房具」となり、安く大量生産できるメーカーが生き残るのか、まだ夢を見ることができる魅惑的なデバイスであり続けるか真価の問われる年となるだろう。
その鍵のひとつがAIだ。AIにより写真撮影技術が進歩したように、スマホを使って面倒だと思うことがAIによって楽になれば、スマホの魅力を向上するだろう。ただAIの進化がハードの買い替え需要にどこまで影響するかは不透明だ。
もうひとつの鍵は5Gだが、来年はまだ一般化しないだろう。2020年に向けて5Gの姿が見えてくる年に来年はなるに違いない。