AppleのQ1決算は売上マイナス5%
Appleが発表した最新のQ1決算では、売上高が前年同期比5%減だった。クックCEOの予測どおり、Appleの成長がストップした決算となった。
中国地域の売上が27%減少、他の地域は1%増加なので、中国地域の売上減少が大きく影響した。製品別では、iPhoneの売上が16%減少、Macは8%増、iPad15%増、Apple Watchなどが33%増、サービス28%増と、中国地域のiPhoneの売上だけが急減したのがよくわかる。
製品別売上高
引用:Apple
例年ではiPhoneの新製品を販売するクリスマスシーズンを含むQ1はiPhoneの売上比率が上昇するが、今年は62%とiPhoneの販売比率は増えなかった。
サービスとApple Watchなどが伸びたとはいえ、iPhoneの売上比率は約61%とiPhoneの売上中心の構図は変わっていない。
フルラインナップ戦略が利益を蝕む
総売上の減少のインパクトは大きいが、「中国地域のiPhone」以外は堅調な決算で、iPhone以外の売上は伸びたのは大きい。新製品を出したMac、iPad、Apple Watch、他社との連携も盛んなサービス部門も売上を伸ばした。
米中の防衛摩擦と中国経済の鈍化が影響したのだろう。言い換えると中国経済が復調すればAppleの売上も再び上昇に転じるといえる。
ただ、もうひとつの懸念が利益の減少だ。今期の純利益はマイナス約5%で、純利益の減少は2年ぶり。研究開発費などのコストが大きく増えたためだ。
iPhone偏重のビジネスモデルから脱却するために、Appleは、MacやiPadのラインナップを強化している。カテゴリーが重複しているMacBook、MacBook Air、MacBook Proを販売し、少なくてもトレンドではないMac miniをモデルチェンジした。今度は、iPod Touch、iPad miniのモデルチェンジも噂されている。
ラインナップを強化した結果、研究開発費が今までよりも嵩むことになったに違いない。
販売台数非公開は寂しい
予告どおり、今期より製品別販売台数が非公開になってしまった。今までは販売台数から製品単価がわかり、各製品別の戦略と結果を紐解く材料になっていたので非常に残念だ。
以前も指摘したとおり、販売台数を隠したのは、iPhoneの成長鈍化が理由だろう。中国経済の失速がなくても、iPhoneの販売台数は芳しくなかったはずだ。スマートフォン市場が飽和化し、安価な製品を提供するファーウェイの売上が伸びている中、iPhoneはより高価格帯に移らざるを得ない。販売台数の推移はiPhoneの現状を知るには不適当だというAppleの主張は理解できる。
決算発表後のAppleの株価は時間外取引で急伸している。「中国のiPhoneだけの問題」と受け止め、他製品他地域に問題がないことを確認して市場は安堵しているのだろう。
ただ、フルラインナップ戦略の推進による純利益の減少が、今後どうなるかは注視が必要だ。