政府がスマホOSの規制を検討
政府のデジタル市場競争会議がスマホのOS規制を含んだ中間報告をまとめた。スマホOSとはAppleのiOSとGoogleのAndroidを指す。
政府は何を問題視して規制しようとしているのか考えてみます。
寡占化したスマホOS
スマホのOSは実質2社が独占している。あまり健全な市場とは言えないが、それだけならWindowsが圧倒的なシェアを握るPCのOSも問題視されるはずだが、スマホOSにはWindowsにはない独特の制限が加わっている。
それがアプリストアだ。日本では大きなシェアを握っているiOSにアプリをインストールするためにはApp Storeを経由しないといけない。App StoreにアプリをアップロードするにはAppleの審査を通過する必要がある。Appleの基準を満たさないものはApp Storeに置かれない。
Appleがソフトベンダーの生殺与奪の権を握っているということだ。今までは許可されていたアプリでもAppleが方針を変更すれば、App Storeから削除されてしまう。
規約違反があったとして、AppleはFortniteの開発ベンダーであるEpic GamesをApp Storeから削除した(現在でも裁判中)。
もうひとつのアプリストアの問題点は、手数料だ。一定の売り上げがあるアプリにAppleは30%の手数料を取っている。Appleはこの手数料を自由に変更することができる。手数料を拒否すれば、Epicのように排除されかねない。
それ以外にも、SiriやGoogle音声アシスタントが収集する個人情報も問題になっているようだ。
自由競争を守る規制は可能か?
中間報告では「消費者の選択の自由を守ることが重要だ」としていて、規制に前向きな様子だ。たしかに、OSベンダーが自由にアプリを排除できれば、健全な競争は行えなくない。ただ、どのように規制すれば自由を確保できるのか。OSを開発しているベンダーにも不利益なアプリを削除する自由がある。
政府はEUでも実施されている事前規制を視野に入れているようだ。事前規制とは、禁止行為をOSベンダーに予め提示しておいて、違反したら罰金を徴収する仕組みだ。
ただ、アプリストアの運用について何を禁止事項とするかは難しい。
自由競争を守るための規制をどのように実現するか政府内で今後も協議が続くと思われる。