小説とIT

「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の 「夏のピルグリム」 が7月18日に発売になります。初の単行本形式の小説です。
興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

MENU

ディズニーが単独で動画配信サービス「Disney DELUXE」を開始する理由

「Disney DELUXE」を発表

ウォルト・ディズニー・ジャパンとNTTドコモは、ディズニー作品の定額制動画配信サービス「Disney DELUXE」を発表した。月額700円でディズニー、ピクサー、マーベル、スターウォーズの4スタジオの作品をスマートフォンやPCで鑑賞できる。

他の定額配信サービスには提供されていないディズニー作品が観られるのが売りだ。

Netflix、Hulu、Amazon Prime Videoと多くの動画配信サービスがあるのに、どうしてディズニーは単独のサービスを開始したのだろう。

f:id:tkan1111:20190310091738p:plain

ディズニーの危機感

アメリカでは、Netflixがディズニー作品を配信していたが、単独サービスを開始するために、ディズニーはNetflixから昨年撤退した。

今までディズニーは自社の作品を映画で上映し、その後DVDとBlue-rayを販売し、テレビ局へ放送権を売ることで、利益を上げていた。自社のコンテンツを様々な媒体・形態で販売することで、制作費を回収するのがディズニーのビジネスモデルだ。

動画配信サービスが流行り始めた時は、新たな媒体が増えたと考え、ディズニーは放送権の販売と同様に、Netflixなどにコンテンツを提供した。

ところが、Blue-rayなどのいわゆる円盤メディアの売上が減少し、アメリカではケーブルテレビも衰退をはじめ、代わりに動画配信サービスが一般化した。

様々なメディアにコンテンツを販売することで利益を上げていたディズニーだが、動画配信サービスだけにコンテンツを提供するのでは自社の利益が減ってしまう。

動画配信サービスでは、ディズニーだけではなく、他のコンテンツとも並列で扱われてしまうので、ブランドが毀損する危険もある。ユーザーからすれば、多くの映画とTV番組と一緒に並んでいるディズニー作品は、無料で鑑賞できるひとつのコンテンツでしかない。

危機感を覚えたディズニーは、動画配信サービスから撤退し単独での動画配信サービスの開始を決めた。自社でサービスをもつことで、利益を確保しようとしたのだ。

勝算はあるのか?

前述の通り、Netflixなどの動画配信サービスが市場をすでに占有している。今から開始する「Disney DELUXE」は他のサービスに勝てるのだろうか。ディズニー単独の作品だけではコンテンツとしては弱い気もするが、アメリカ人にとってディズニーは強力なブランドだ。ディズニーランドがある日本でも人気だが、アメリカでの人気は日本をはるかに上回る。近年、もうひとつのアメリカ人の魂とも言うべきスターウォーズも買収し、  自社のコンテンツだけでも勝算があるとディズニーは思っているのだろう。

日本ではどうだろう? 他の動画配信サービスと価格を比較してみる。

  • Disney DELUXE・・・月額700円
  • dTV・・・月額500円
  • Amazon プライム・・・月額400円
  • Netflix・・・月額800円
  • hulu・・・月額930円

Disney DELUXEの会費は、dTVよりは高くNetflixより安い。コンテンツ数では他のサービスより少ないが、ディズニーのコンテンツを独占できるプレミアム感を考えると700円という値付けは絶妙だと思うが、ディズニーのコンテンツだけでユーザーが満足できるかどうかが課題だ。

ディズニーだけのコンテンツでは、コンテンツ数が足りないユーザーが多いのではないか。AmazonプライムやNetflixなどとあわせて加入するほうが現実的だと思う。そうした複数の動画配信サービスに加入し、コンテンツを消費できるユーザーがどれだけいるか。

ただ、日本にもディズニーランドを年パスで購入するディズニー好きの人々、スターウォーズマニアもいるので、その方面の人にはうけるサービスになるだろう。

さらに多くのユーザーを集めるためには、ディズニー作品だけではなく他の作品をより多く集めるか、映画配給会社や他の動画配信サービスを買収する必要が出てくる。

そこまでディズニーが動画配信サービスに前のめりになれるかが、次の課題になる。