宝島社より 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」 が発売になりました。私にとっては初の商業出版になります。
自分の小説が本屋に並ぶという中学生からの夢がようやく実現します! 興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

MENU

Apple TV+が月額600円と格安になった5つの理由

 

Apple TV+は月額600円

新型iPhoneの発表の陰に隠れた感じになったが、Appleのストリーミングサービス「Apple TV+」の詳細が発表された。

  • 11月1日サービス開始
  • 7日間の無料トライアル
  • 月額600円
  • 家族6人までアクセス可能
  • Apple製品を購入すると1年間無料

f:id:tkan1111:20190918074824p:plain

月額99ドル(1200円)の料金設定になると思われていたので、想定外の安さだ。おまけにApple製品購入者は1年間無料、実質7200円の値引きとなる。

Netflixやディズニーのサービスよりも安い値付けだ。

どちらかというと他社より高価な価格設定が多いAppleが満を持してはじめるサービスなのに、どうして格安にしたか理由を探ります。

f:id:tkan1111:20190918075244p:plain

コンテンツ数が少ない

Netflixなどの既存サービスと比べてApple TV+のコンテンツ数が少ないと思われる。Netflixは自社制作のオリジナル映画も多くあるが、映画会社やテレビ局から買い付けたコンテンツも数多く取り揃えている。

ディズニーのサービスは、ディズニー以外にも傘下のピクサー、スター・ウォーズ、マーベルのレーベルのタイトルを見放題で、映画の世界観を用いたオリジナルドラマの制作も発表している。

f:id:tkan1111:20190918075834p:plain

ところが、Appleはオリジナルの新作を毎月公開すると言っているが、それ以外のコンテンツはなにがあるか明らかにしていない。Appleがコンテンツ資産を保有しているわけではないので、ラインナップを最初から揃えるには他社から買い付ける必要がある。

現在発表されている新作も10作品のみで、予告編が公開されているのは現時点で5作品のみ。今後増えていくと予想されるが、好みもあるので、今判明しているコンテンツで一ヶ月楽しめるとはちょっと思えない。

イベントでクックCEOが「レンタルビデオ1本分より安い」とPRしていたが、穿った見方をすれば「レンタルビデオ一作分と比べるぐらいのボリュームしかない」とも取れる。

少なくても当初はコンテンツ数が劣っているので、他社より安くする必要があったと思われる。

f:id:tkan1111:20190918081120p:plain

ディズニーの存在

ディズニーが独自の動画配信サービス「Disney+」を11月12日に月額6.99ドルで開始するとは発表している。日本では似たサービスである「ディズニーデラックス」を月額700円ですでに開始している。

ディズニーとその傘下の圧倒的なブランド力を上回るコンテンツを用意しなければ、それ以上の値付けをしても失敗してしまう。

ディズニーに対抗するために、Disney+以下の価格にする必要があった。

必要とされる高画質高音質なコンテンツ

Appleのコンテンツは高画質高音質だといわれる。具体的には画質は4K HDR、音質はDolby Atomosに準拠するのが求められる。

新しいiPhoneは4K HDR、Dolby Atomosに対応しており、ハード・ソフト両面で高レベルのコンテンツ鑑賞をAppleは実現しようとしている。

コンテンツ資産がないAppleが高レベルの作品を制作するには時間がかかる。

厳しいコンテンツ基準

クックCEOなど経営陣が、いわゆるエログロのコンテンツを制作しないように口出ししているという噂があった。真偽の程はさておき、人を傷つけないコンテンツをAppleが嗜好しているのはありえる話だ。個人情報保護やリサイクルへの取り組みをみても、Appleが「善い企業」であろうとしているのは間違いない。

それ自体は善いことではあるが、綺麗事だけでは面白いコンテンツにならない。コンテンツ制作に制約があればクリエイターも離れていってしまう。

そうなれば、他社より見劣りするコンテンツを揃えるのに、かなり時間がかかることになるだろう。新しいコンテンツを次々と発表するために、長期的なスケジュールを立てて撮影を行っているはずだ。

今回の格安の価格設定の背景には、撮影の遅れがあるのかもしれない。

2つ目のサービスを狙う

コンテンツを豊富に取り扱うAmazon Prime、Netflix、Huluなどのサービスをすでに契約している人は多い。Apple TV+は、それらのサービスからの乗り換えを狙うのではなく、それらの主力サービスの「付け足し」を狙っているように思える。

ディズニーのサービスもそうだが、単体サービスでは多くのジャンルのコンテンツをすぐに用意できないのであれば、安い価格にして2つ目のサービスの道を選ぶのは戦略上正しいと思う。

コンテンツが増えて主力サービスとして選ばれるようになったときに値上げする考えかもしれない。

妥当な価格設定

Apple TV+の背景を見てみると、月額600円の価格設定は妥当に思えてくる。充分なコンテンツが揃うまでは、この価格を維持するつもりだろう。

動画配信を行えるインフラと、動画鑑賞できる多くのデバイスをAppleはすでに提供しており、インフラはすでに整っている。

足りないのは、独自のコンテンツだ。どれだけ面白いコンテンツを用意できるかが、Apple TV+の成否の鍵となるのは間違いない。

 

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は小説家です。
ブロックチェーンなどITを題材とした小説の他に、ミステリー、恋愛物、児童文学など様々なジャンルの作品を取りそろえています。
Kindle Unlimited会員ならすべて無料、非会員の人にも99円からご用意していますので、お読みいただけると幸いです。感想もいただけたら感涙でございます。