空気電池を開発
500Wh/kg級リチウム空気電池の開発に成功した、とソフトバンクと物質・材料研究機構が発表した。リチウムイオン電池の重量エネルギー密度を上回り、エネルギー密度は過去最高レベルだそうだ。
エネルギー密度が高まれば、デバイスのバッテリーを軽量化できるので、今までバッテリーがネックだったスマートグラスや電気自動車が大幅に進化する可能性がある。
リチウム空気電池とは?
リチウム空気電池とは、空気中の酸素を正極活物質とした二次電池のことだ。主流のリチウムイオン電池の数倍もの密度が実現できる「未来の二次電池」と言われる。
ソフトバンクらの発表では、今回開発されたリチウム空気電池はエネルギー密度も高く、サイクル数を増やしても、現在開発中である他社のリチウム空気電池性能より劣化を抑えられている。
バッテリーの軽量化がITを進化させる
バッテリーの重さがネックになっているデバイスは多い。現代のノートPCもスマートフォンの内部もバッテリーでいっぱいだ。スマートフォンに続く次世代デバイスとして注目されているスマートグラスは顔に装着するので軽くする必要があるが、バッテリーの重量と容積がネックになっている。重いと鼻に負担がかかるので、長時間使用することができない。リチウム空気電池が現実化すれば、スマートグラスの実用化が大きく進展する。
カーボンゼロを目指すために普及が見込まれる電気自動車はガソリン車に比べて走行距離が短いことが課題だ。走行距離を伸ばすためには、バッテリーの搭載量を増やす必要があるが、バッテリーを増やせば車重は重くなるし、ボディも大型化してしまう。
リチウム空気電池によりバッテリーを軽量化できれば、走行距離を伸ばしたコンパクトな電気自動車が実現する。
今後の課題は?
現行のリチウムイオン電池のエネルギー密度を上回ったことで、リチウム空気電池の将来性が見えてきた。現行の課題は、サイクル寿命の改善だ。普及モデルとして製造販売するには、バッテリーの劣化を抑える必要がある。現在、新たな改良材料群を搭載することで、サイクル寿命を伸ばそうとしているそうだ。
リチウム空気電池が実現すれば、現行のITデバイスを大きく進化させる可能性があるので、大いに期待したい。