宝島社より 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」 が発売になりました。私にとっては初の商業出版になります。
自分の小説が本屋に並ぶという中学生からの夢がようやく実現します! 興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

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どの人称を使っている?

小説を書くときに人称をまず決める必要があります。
僕の場合、最近は「三人称一元視点」で書くことが多いです。「三人称一元視点」とは、「僕」「私」ではなく、主人公の名前(「彼」「彼女」でもいいけど)が主語で物語が進行する形態です。
著者初の商業出版「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」も「三人称一元視点」で書かれていて、基本的に一人の視点で描写されています。
過去に書いた長編作品の人称を調べてみました。

  • 一人称・・・10作品
  • 三人称一元視点・・・8作品
  • 三人称多元視点・・・4作品

一番多いのは、一人称の10作品でした。初期の頃の作品は一人称を用いることが多かったです。小説を書き慣れていなかったので、日記などで使い慣れている一人称で書いていました。慣れてくると三人称で書くことが増えていきました。

最近の作品では、「四度目のF」が一人称で書かれています。本作は片思いの女子高生が主人公なので、より内面にフォーカスしやすい一人称にしました。
内心について深く語る内容や、視野を狭くして、伏線を張りたい場合などは一人称を用いるようにしています。
一人称だと、主人公の行動を読者が追体験しやすいと気がします。
その物語が、一人称でも三人称でもどちらでも書けるようなら三人称を選びます。

三人称一元視点は8作品でした。最近の作品の多くは、三人称一元視点を用いています。特別な意図がなければ、まずは三人称一元視点で書き始めることが最近は多いです。
主人公ひとりの視点の物語なら一人称でも書けるのですが、三人称一元視点で書くことで話者の固有名詞を読者に伝えられ、誰が話しているか明確になる効果があります。
三人称一元視点は、一人称より離れた場所からカメラが主人公を描写しているイメージですね。
三人称一元視点は、カメラが外部にあるので、読者に対して知らせていない部分があっても良いと勝手に決めています。例えば語られていない過去の秘密とか。

対する一人称はカメラが主人公の内面にある感じです。
一人称は主人公がカメラとが一体なので、読者に隠し事をするのに適さず、主人公の行動を読者が一緒に体験するイメージで書いています。

三人称多元視点は4作品。多元視点を用いるのは群像劇が多いです。多くの人物が個々の思惑によって行動することで物語が進行する「ニューバースの夜明け」や「磐田の棋理」は三人称多元視点で描かれています。

まとめると、こんな感じ。

・主人公が一人なら、「三人称一元視点」
・行動する人物が複数なら「三人称多元視点」
・主人公の内面を掘り下げたいなら「一人称」

僕個人の体験による人称の使い分けですので、学術的にあっているかどうかはわかりません。悪しからず。

最後に参考までに、過去作品の人称を置いておきますね。昔の作品は読み直さないと、人称を忘れていることに驚き。