有料動画が急伸
2020年度は前年比プラス63%と有料動画配信サービスが一気に伸びた。ここ数年の上昇トレンドに合わせて、コロナ禍での巣ごもり消費が原因だろう。レンタルとセルは減少したが、市場全体としてはプラス22%と伸びている。
レンタルは長年下降トレンドだったが、昨年はマイナス17%と大きく下げた。ショップでの利用が多いレンタルがコロナ禍の影響をまともに受けたのと有料動画配信への移行が進んだのが理由だ。
引用:一般社団法人 日本映像ソフト協会
有料動画配信サービスのうち「定額見放題」「デジタルレンタル」「購入」でAmazonプライムビデオが首位。配送特典のサービスに加入すると自動的に視聴できるAmazonプライムの定額見放題が強いのは想像できるが、デジタルレンタル・購入でも強いのは、これらのサービスにおいてもポータルが大事ということだろう。
日頃からAmazonプライムビデオで見放題を視聴していれば、自分がみたいコンテンツが有料の場合、レンタル・購入でもAmazonプライムビデオ内で選択しやすい。
有料動画配信サービスを利用するきっかけは「オリジナル作品」が多い。オリジナル作品というとAmazonプライムビデオとNetflixが2大巨頭で、シェアもこの2社が大きい。
定額見放題で視聴されているのは「日本アニメ」と「海外ドラマ」が多い。
Amazonユーザーは「手軽」という理由が強い。やはり買い物やAmazonプライムの他のサービスでAmazonを利用しているから手軽で使いやすいのだろう。
Netflixはオリジナル作品が強い。多額の費用を投入して制作された良質な映画が多いからだと思われる。
Huluもオリジナル作品が強い。日本のHuluの場合、地上波ドラマの続編やスピンオフの視聴が多いと思われる。その証拠にドラマの視聴が多いので視聴本数は他のサービスより多い。
動画配信が牽引する映画業界、強いAmazonポータル
有料動画配信サービスにより、映像市場は拡大した。コロナ禍で映画にいけないのも原因だが、AmazonとNetflixが制作したコンテンツを中心に自宅での動画鑑賞が習慣になった人も多いと思う。
その中でも、日本ではAmazonの強さが改めて認識された。買い物サイトとしても楽天と双璧をなすAmazonは、「物でも映画でも欲しいものがあったら、まずAmazonサイト」という習慣がついているのが非常に大きい。Amazon MusicとAmazonプライムビデオは配送特典目当てにAmazonプライムに加入すれば利用できるので、Amazonサイトへのアクセスは必然的に多くなる。戦略的にAmazonプライムの会費が他社のサービスに比べて安価なのも大きい。
動画配信サービスにはdTVやインターネットTVであるABEMAなど国内企業も参入しているが、Amazonを超えるのは容易ではないだろう。