日本のAmazonプライムは安い
アメリカのAmazonプライムは年間119ドル(約1万3000円)。日本のAmazonプライムは3900円なので、約3倍も高い。アメリカでは今年5月に20%値上げしたが、日本では値上げする予定がないそうだ。
外資系企業は、経営の手間を削減するためグローバルで統一した戦略を取ることが多い。Amazonはローカル独自の戦略をとることも多いが、同じプログラムのサービスで3倍の価格差は異例だ。
日本のAmazonプライムを値上げしない理由を、いくつか推察してみる。
配送コストの違い
ぶっちゃけ日米価格差の一番大きな理由が、これだ。言うまでもなくアメリカは広い。都市間の配送は航空便を使う必要があり、当然配送料も高い。日本の場合、東京、大阪、鳥栖など国内に数箇所ある配送拠点からトラックで離島を除く全国へ配送している。配送コストの違いが、日米の料金の価格差に繋がっている。
楽天との競争
アメリカにおけるAmazonのシェアは驚異的だ。EC市場におけるシェアは50%を超えている。一方、日本のAmazonも第1位ではあるが、シェアは20%ほどで、楽天が僅差で続く。アメリカでは圧倒的な力をもつAmazonだが、日本ではまだ成長の余地がある。Amazonプライムの加入者を増やしロイヤリティが高い顧客を集めることは、Amazonプライムで利益を出すことよりも重要だとAmazonは考えているに違いない。
dビデオなど動画配信サービスの競合
Amazonがシェアトップを獲得できていないのが動画配信サービスだ。アメリカで50%以上のシェアを握っているのはAmazon VideoではなくNetflixだ。
ケーブルテレビからネット動画への移行が早かったアメリカ国内では動画配信サービスは飽和状態に達しつつある。
二年前に日本へ上陸したNetflixのシェアはまだ小さく、dビデオなど国内サービスの方が勢いがあり、まだ混沌した状態だ。日本ではディスク媒体での販売もまだ大きいので、動画配信サービスが成長する余地は大きい。
国内ベンダーとの争いは続く
配送料の差以外では、国内ベンダーとAmazonの競争激化がAmazonプライムの価格差の理由だ。携帯キャリアの開始など楽天は多角化を行い、顧客を集めAmazonに対抗しようとしている。ドコモ、au、ソフトバンクといった日本では力を持つ携帯キャリアが、動画配信、音楽配信など統合的なサービスを提供している。
こういった国内ベンダーとの競争があるので、AmazonはAmazonプライムを安価な価格に据え置き、競争を優位にしようとしている。