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ABEMAに見えた光明。藤田社長は賭けに勝ったのか

好調だったサイバーエージェントの決算

サイバーエージェント(以下、CA)のQ2(2020年1月から3月)決算が好調だった。

全体の売上は前年同期比プラス10%、営業利益はプラス45%の大幅増だった。注目はAbema TV改めABEMAを中心としたメディア事業だ。ここでも売上はプラス約19%と好調だった。しかし、営業利益はマイナス42億円と損益はあまり減っていない。

それでも、ABEMA黒字化への道筋が見えてきた。

決算発表の数字を見ながら、考えます。

 

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「巣ごもり」による売上増加

新型コロナ禍による「巣ごもり」で視聴者数が増えて、それが売上増加に繋がり、前年同期比プラス19%だった。

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視聴者数が20%から30%増加と飛躍的に伸びている。CAの説明では新型コロナウィルスによる緊急記者会見もあったのが影響したそうだ。たしかに緊急ニュースや長時間記者会見に迅速に対応してくれるので「なにかあったらすぐにABEMA」という視聴習慣ができ始めている。

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ライバルはAmazonか? YouTubeか?

CAが面白い数字を出してきた。これは、国内の動画配信サービスの視聴数データだ。全体ではAmazon Primeビデオがダントツで、それをABEMAが追っている状況だ。そのあとを無料配信サービスであるTVer、GYAO!が位置しているが、かなりの差がある。

3月は新型コロナによる影響が大きいが、AmazonプライムよりもABEMAの伸びが大きいのが凄い。Amazonプライムビデオは、配送無料など多くの特典があるプライム会員なら自動的に利用できる。会員数は世界で1.5億人もいる。日本でも会員を増やすために力を入れていて、ドコモと提携していて、ドコモの新プランに加入したユーザーはAmazonプライム会費が1年間無料になっている。巣ごもり消費を獲得するために、このところTV CMも多く流している。

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右は若い層の視聴者数だが、若年層に強いABEMAがAmazonプライム・ビデオに肉薄している。恋愛バラエティやオリジナルドラマが10代・20代に人気だ。

国内の動画配信サービスではAmazonとABEMAが2強に見えるが、このグラフにはYouTubeがない。視聴者数ではYouTubeが圧倒的に強い。基本無料で視聴者を集めて、CMと一部の有料会員で稼ぐビジネスモデルという点では、ABEMAはYouTubeとバッティングする。ただ、ABEMAはプロがコンテンツを制作している一方、YouTubeは基本ユーザーが投稿している違いがある。

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成功しつつある有料課金モデル

当初のABEMAは地上波テレビと同様にCMで稼ぐビジネスモデルだったが、思うようにCMが集まらず、有料会員を集めるモデルにABEMAは転換してきた(ビジネスモデルを転換したので、Abema TVのTVを取りABEMAに名称を変えた)。

無料キャンペーンも打ったこともあり、有料会員数が急増している。放送開始時間に合わせて番組を視たい人よりも、ビデオで好きな時に視聴したい人の方が多かったと思われる。

ABEMAはドラマやバラエティなど大量のコンテンツを日々制作しているので、ビデオで鑑賞できる資産が豊富にあるのが有利だ。

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課金収入に手応えがあったので、従来の広告収入と合わせて有料課金でマネタイズを加速する施策をCAは進めている。

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黒字化も近い?

42億円の赤字は確かにまだ巨額だが、138億円に急伸した売上に注目したい。単純計算で、96億円のコストをかけてコンテンツを制作していることになる。

ABEMAはたくさんのチャンネルがあり、チャンネルごとに多くのコンテンツを制作しているので、ビデオ資産が日々蓄積されている。

これを続けていけば、豊富なコンテンツを観たさの有料会員を増やすことができ、その会費収入で良質なコンテンツを作る良いスパイラルができる。さらに資産が増えれば、制作費を節約することもできてくるので、黒字化もそれほど遠くないかもしれない。 

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