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 サイバーエージェント決算。ABEMAの成長は本物か?黒字化はいつ?

サイバーエージェント2021年度Q1決算

サイバーエージェントの2021年度第1四半期決算は、売上が前年同期比プラス13.3%、利益がマイナス8.7%の増収減益だった。

メイン事業である広告事業がプラス13.8%と大きく寄与した。減益はゲーム事業の不調と競輪・オートレースのインターネット投票サービス「WINTICKET」の広告費用が嵩んだということだった。

長らく赤字状態が続くABEMAについて見ていきたいと思います。

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ABEMAの売上が急伸

売上は前年同期比で1.6倍と急伸した。有料会員である「ABEMAプレミアム」の会員数が伸びたこともあるが、一番大きいのは「WINTICKET」の売上である。f:id:tkan1111:20210129093819p:plain

「WINTICKET」は競輪・オートレースのインターネット投票サービスで、ABEMAの番組と連動して投票できる。「WINTICKET」の取扱高は前年同期比でなんと11倍。地上波でのCMを開始して一気にユーザーが増えた。取扱高は192億円だが、取扱高は売上とイコールではないので、実際の売上は取扱高の2割ぐらいだろうか。

売上が増えれば、利益も増えそうなものだが、営業損失は前年同期比より減ったが、マイナス39億円と引き続き巨大。「WINTICKET」の広告費が大きかったということだが、「WINTICKET」の利益率が低いことが予想される。

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サイバーエージェントもWINTICKETの売上でABEMAが黒字になると思っていないようで、広告費とプレミアム会員の増加に注力している。

今年度よりフリーユーザーとプレミアムユーザーの両方を拡大するために、組織を2つに分けた。フリーユーザーを増やして一部のユーザーがプレミアム会員になってくれることで利益を得るのがフリーミアムモデルだが、無料と有料を分けて訴求するのは珍しい手法だ。

今期になってプレミアム会員向けのコンテンツが増えて、今までフリーだったコンテンツが観られなくなった。

プレミアム会員は100万人を目標としていたが92.1万人止まりで、伸び悩んでいるように見える。ABEMAは当初地上波テレビの代替を目指していたが広告費だけでは製作費を賄えず、有料モデルとの両輪にシフトしてきた。プレミアム会員を増やすことはABEMAの至上命題である。

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ABEMAの黒字化はいつ?

赤字幅は減少したが、黒字はまだ遠い。本当にABEMAは黒字になるのだろうか。ABEMAの赤字を他事業が補填するのがここ数年のサイバーエージェントの決算だったが、今期のようにゲーム事業が弱いとABEMAの赤字が会社全体の足を引っ張ることになる。

今まで無料だったコンテンツが有料になることで、全体のユーザー数が減る危険性もある。ライバルであるTVerやYouTubeは基本的に無料で全ての番組が視聴できる。YouTubeは芸能人が多数進出しているし、TVerは地上波の番組を観ることができる。これらの番組を上回るコンテンツをABEMAは制作しないと有料会員にはなってもらえない。

ギャンブル事業で売上は伸びたが、ライバルのコンテンツも強化されていて、ABEMAのビジネス環境は厳しくなってきている。

とは言え、ライバルに勝つにはコンテンツを強化する以外に方法はなく、そのための投資を減らすわけにはいかない。もうしばらくABEMAの赤字は続くのではないだろうか。赤字がいつまで許されるかはサイバーエージェントの他事業の業績に左右されることになる。

 
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