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Google Stadiaが失敗した理由はサブスクとの相性にあった

Stadiaが中止

Googleがクラウドゲーミングサービス「Stadia」を2023年1月に終了すると発表した。StadiaをGoogleが発表したときは、映画や音楽などと同様に、ゲームもクラウド・サブスク化するという予想もあったが、人気になることはなくわずか3年でサービスを終了することになってしまった。

Stadiaが失敗した理由を考えます。

Stadia登場時の背景

クラウドサービスである「Stadia」は専用のゲーム機が不要で、スマホがあればどこでも遊べる。月額料金を支払うことで、対象のゲームを無制限で遊べる。

こうやって並べると、理想のゲーム環境に思えるが、Stadiaが人気を得ることはなかった。

Stadia開始時のゲーム業界は二極化していた。ひとつはPlayStationと任天堂、Microsoftに代表される専用ゲーム機で遊べる本格派ゲームと、気軽にスマホで遊べる課金型・広告型ゲームに分かれていた。

当時、勢いがあったのはスマホゲームだった。スマホの高性能化に伴い本格的なゲームも登場してきて、将来的にスマホが専用ゲーム機を呑み込んでしまうという観測も出ていた。ミュージックプレイヤー、デジカメと様々なデバイスを吸収してきたスマホが今度は家庭用ゲーム機も吸収してしまうという考えには現実感があった。

さらに当時はサブスクリプションサービスの勢いが激しかった。現在と異なり、全世界でNetflixのユーザー数が増え続けていて、様々な業種の企業がサブスクサービスに続々と参入を表明している時期だった。

そういった時代の波に乗って、Stadiaも人気を博すと思われていた。

市場がなかった

Stadiaが不人気だった大きな理由は、ゲーム市場にクラウドサービスを参入する余地がなかったからだ。

クラウドゲームを本格派ゲームで遊ぶためには、スマホの画面をテレビ画面に投影して、コントローラーを用意してBluetoothで接続しないといけない。専用ゲーム機は大画面で遊べて、操作性が高いコントローラーが最初からある。

気軽に遊べると思われたクラウドゲームだが、本格的に遊ぶには意外と面倒なことがわかった。

同じようにコントローラーも大画面もないスマホゲームはどうだろう。スマホゲームは手軽に遊べるのが特徴で、短く簡単に遊べるゲームが多い。そもそもコントローラーも大画面もない前提で成立している。

スマホゲームの多くは無料で遊べる。1円の壁といわれるように、無料と有料には大きな差があり、無料なら遊ぶがお金がかかるゲームに遊んでもらうには障壁が大きい。

Stadiaは月額課金だ。月額9.99ドルとはいえ、毎月サービスを継続してもらうにはそれなりの対価が必要だ。

サブスクとの相性の悪さ

サブスク全盛の時代なのに、クラウドゲームとサブスクの相性はあまり良くなかった。ネット対戦ゲームを遊ぶために、任天堂やソニーに料金を毎月払うユーザーは多いのだから、クラウドゲームもその流れで月額料金を払いユーザー数が増える見込みだった。

だが、購入したゲームをネット対戦するために支払うお金と、クラウドゲームを遊ぶために支払うお金では大きな違いがあった。

数千円するパッケージゲームはユーザーが納得して購入している。そのゲームを最大限遊ぶために、ネットワーク料金を支払っているのだ。

クラウドゲームは遊びたいゲームがあるとは限らない。Googleがゲームのラインナップを選んでいるので、その中からユーザーは自分が遊びたいゲームを探さないといけない。

ロールプレイやアドベンチャーゲームだとエンディングに到達すると、同じゲームを二度遊ぶユーザーは少ない。遊ぶゲームがなくなれば、ユーザーはサービスを確約してしまう。サブスクで毎月課金してもらうためには、新しいゲームを常に提供しないといけない。

だが、ゲームは開発期間も長いし、ローンチした後も不具合の修正、追加ステージなどのアップデートと手間がかかる。

映画や音楽は、そのサービス個別のコンテンツではない。動画配信サービスや音楽配信サービスのサブクスは世間で流通しているコンテンツを自社サービスのラインナップとして並べることができる。

Stadiaは独自プラットフォームに合わせてゲームを制作してもらわないといけない(他プラットフォームから移植しやすいような環境を構築しようとはしていたが)。

さらにローンチ以降も手間がかかるので、ゲームは映画や音楽と同じ土俵では本来語れないコンテンツだったのだ。多くの人はそれが見極めできなかった。

Appleも同様

Google Stadiaはサービスを停止するが、別にGoogleに落ち度があったわけではない。Appleは「Apple Arcade」というクラウドゲームをローンチしているが、Stadiaと同様にあまりうまくいっていない。Googleに大きな問題があったというよりは前述の通りクラウドゲームというプラットフォームがユーザーに受け入れられていないというのが事実だろう。

そもそもクラウドゲームが参入する市場がなく、サブスクとも相性が悪いのであれば、Google Stadiaが失敗するのは当然だった。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
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