M1版Macbook Pro
Apple silicon「M1」チップ搭載初のMac「13インチMacbook Pro」の評価が高い。近年ここまでベタ褒めの製品はPCに限らず、久々じゃないですかね。
このMacbook Proは果たして買いなのか考えてみます。
恐るべき性能
製品発表でAppleは「最大2.8倍速いCPU性能」「最大20時間のビデオ再生」と景気の良い数字を並べていたが、これが看板倒れになっていない。
ベンチマークだけではなく、実際に触れてもその性能の凄さは体感できる。16インチMacbook Proと並行して触ると、アプリの起動速度や切り替えだけでも速度が全く違うのがはっきりとわかる。16インチProよりもM1版Macbook Proの方が速いのだ。重たいアプリを実行するとその差はさらにわかるに違いない。
もう一つ驚くのは、バッテリーの保ちの良さだ。公称最大20時間のビデオ再生は伊達じゃない。20時間電源がなくて使えるというのはPCというよりスマホの感覚だ。ACアダプターを持ち歩かなくても一日中余裕で使えるレベルだ。ノートPCの使い方が大きく変わりそうだ。
性能については今までのMacだけではなくWindows PCと比較しても「買い」だ。
課題は?
かなりの高性能なMacbook Proだが、課題はないのか。
まずは価格。最低価格である134,800円は性能を考えれば破格の安さだと思う。
M1チップはCPU・GPU・メモリなどを1チップ化している。その効果で高性能と省電力を実現できているが、その一方で構成を自由に選べない課題はある。今回発表されたM1チップは8GBと16GBメモリだけが提供されている。
最低価格のモデルは8GBだが、多くのシーンで8GBでも全く問題ないという評価レポートが出ている。
I/Oチップも統合されており、その制約でThunderbolt 3を2ポートしかM1チップ搭載Macbook Proは使えない。IntelモデルでもMacbook Proは2ポートしかないモデルがあったが、今後登場するだろう上位版のM1チップは4ポート以上を搭載してくる可能性が高い。本体の左右にポートがあると、左右どちらからでも充電ができてケーブルの取り回しが楽になる。
今回は2ポート版のMacbook ProとMacBook Air、Mac miniのモデルチェンジだったので、4ポート版Macbook Proや16インチMacbook ProはIntel版が併売されている。近いうちに上位版M1チップ搭載のこれらの製品が登場するのは確実だろう。Appleは2年以内にIntelからApple siliconにリプレイスすると公言しているからだ。これらの上位機種もM1チップ版なら今までのIntel版より廉価で提供されると思われる。
今回のMacBook ProはMacBook Airと実質同じチップなので、性能差はほとんどない。ファンによる冷却性能が大きな違いだが、省電力であるM1チップではファンが必要なシーンは多くない。今回のProはAirと性能が近く「プロらしくない」というのが唯一の欠点かもしれない。
今Proを買うなら、さらに安価なMacbook Airを購入した方が満足度は高いと思う。
Proを買うなら、上位版M1チップを搭載したMacbook Proが出るまで待った方が賢明かもしれない。