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飲食店テロをどう防ぐか考える

店舗テロ

高校生がスシローの店内で、醤油ボトルや湯呑みを舐めて戻す行為を動画で流したことが、大きな問題になっている。

その後、スシロー以外でもさまざまな外食店でイタズラをした動画が見つかり、各社が対応に迫られている。

この問題の背景と対処法を考えてみます。

SNSによる顕在化

飲食店に限らず、以前にも店ではイタズラが行われていた。飲食店では店員が嫌な客の料理に手を抜くことは、バイト先で筆者も目撃したことがある。店の裏側を知ると、客としてとても行きたくないような店もあった。

そういう店の本当の姿が表沙汰にならなかったのは、SNSがなかったからだ。SNSで動画が流出し、可視化されることによって、イタズラが顕在化して騒動になっている。これが体験談だけだったり、写真だけならここまでの騒動にはならなかっただろう。動画だと観たときのインパクトが全然違う。インパクトが大きいからSNSで拡散されて、社会問題になった。

性善説の限界

スシローの醤油、吉野家の紅生姜、うどん店の揚げ玉は、客であれば無料で使い放題だ。今までは全てテーブルに置きっぱなしだ。それらのものをお客がイタズラしないという性善説に基づいて置いてある。

回転寿司もそうだ。回転寿司は、流れてくる寿司を一度とったら戻さないという性善説に沿ったビジネスモデルだ。

流れる寿司にイタズラしないように監視をつけたり、揚げ玉をテーブルにおかないようにしたりして、お客がイタズラしないように制約すれば、お客は不便になるし、店側もコストがかかる。

性善説に頼れば、コストを減らせるので、ローコストの格安店に性善説に基づいたオペレーションが適用されることが多い。だけど、安い店は薄利多売なので多くの客が集める必要がある。たくさんの人が集まれば、その中に性善説が通用しない人が混じる可能性も高くなる。

高級店ではこういうことはまず起きない。高いお金を払って店に行って、そんなくだらないイタズラをする客はいない。

どこまでお客のモラルを信じるのか、バランスを取るのが非常に難しい。たとえば、最近増えた無人店舗。冷凍食品を店内において、自分で会計する店舗がある。これらの店舗は、お客が万引きしないことを信じているビジネスモデルだ。

万引きをされたくなければ、店員を置くか、自動販売機を導入すれば良い。そうすると当然コストはかかる。コストをかけたくないから、客のモラルを信じて無人店舗にしているわけだ。最近、無人店舗での万引きして捕まっている事件が起きているが、このモデルである以上、そういった不届きものが出てくるのはある程度仕方がない。盗まれるコストと防犯のコストを考慮して、ビジネスを設計する必要がある。

厳罰化は必須?

SMSで拡散されれば、企業のブランドイメージが大きく毀損するので、企業側もある程度防衛しないといけない。醤油など他の客が使うものをテーブルに置かないなどの対策をすることになる。店がサービスとして提供していたことを客を享受できなくなってしまう。

少数の不届きもののために多くの客が迷惑を被ることになる。だが、そういった防衛策にも限界がある。醤油をテーブルに置かなくても、イタズラはできてしまうし、完璧に防ぐには醤油の使い回しをやめるしかない。

本当にこうした問題をやめさせるには、厳罰化が必要なのかもしれない。スシローもそうだし、イタズラを受けた多くの店がイタズラをした人の謝罪を受け入れず、被害届を出し警察に相談している。また、損害賠償も視野に入れている。

顧客へのサービスとコストのバランスをとりながら、ある程度の対策を店側が行い、それでもイタズラをする客は被害届や損害賠償などの厳罰化を行うことで、新たな犯罪を思いとどまらせるしかないのかもしれない。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
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