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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

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変わる地上波テレビ。テレビに若者が戻ってきた?

消える長寿番組

コロナ禍により社会の様々な事象が変わってきているが、そのひとつが地上波テレビだ。最近、長寿番組が終了する報道を見かける。22年間続いているフジテレビ系情報番組「情報プレゼンター とくダネ!」が3月で終了すると発表された。

それ以外にも地上波テレビの周辺で多くのことが変わろうとしている。その理由と背景を考えてみます。

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減り続ける広告収入

コロナ禍でテレビ局が最も大きく影響を受けたのは広告収入の減少だ。自粛により経済活動が縮小し企業は広告費を制限している。

フジテレビの2021年度第2四半期(2020/4-2020/9)の決算では、地上波テレビを含むメディア・コンテンツ事業は売上高が前年同期比でマイナス18%、営業利益でマイナス60%の減収減益だった。

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引用:株式会社フジテレビジョン

放送事業を細かく見ていくと、「スポット広告」がマイナス30%と減少している。スポット収入は景気に左右され安井ので、コロナ禍による影響と考えられる。

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スポット収入の内訳を見ると、「エネルギー・機械」がマイナス80%、「交通・レジャー・観光」がマイナス73%と大幅に減収している。シェアが大きい業種では「情報・通信・放送」がマイナス28%、「化粧品・トイレタリー」がマイナス28%。

観光業などはコロナ禍で減少するのは理解できるが、それほど大きな影響を受けているとは思えないエネルギーやトイレタリーが減少しているのは不思議だ。自粛により化粧品が売り上げが減っているからか。

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コロナの感染拡大前にもスポット広告は減少していた。2019年の時点で出稿額はマイナス5%以上。日本民間放送連盟は災害や景気、消費税以外にも、インターネット広告費へのシフト、広告宣伝費から販促費へのシフトを理由に挙げている。

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引用:「地上波テレビ売上高の現状について」一般社団法人 日本民間放送連盟

ネットやレジャーの多様化により地上波テレビの衰退が近年叫ばれているが、コロナ禍により一気に進んだ感もある。

TVerの伸長

自粛とリモートワークによりネットでテレビ番組が観られるTVerの視聴者数が伸びている。2020年7月から9月期の月間動画再生数は1億回を突破し、9月は1350万MAU(月間ユーザー数)を達成した。TVerの視聴数を見る限り、地上波テレビ番組を観たい層はまだまだ健在だ。

TVerは無料でアカウントがなくても過去のテレビ番組が鑑賞できる便利なサイトだ。TVerは在京民放5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)と、広告代理店4社(電通、博報堂DYMP、ADK、東急エージェンシー)が共同出資して運営している企業で、過去のテレビ番組の配信を行っている。

TVerを使うと年齢層などのアンケートがたまに入る。このアンケートによってテレビ局は視聴者層を把握できる。それによると、TVerの最も大きな視聴者層はF1(20〜34歳女性)とF2(35〜49歳)層だ。TVerの視聴はPCやスマホのアプリが必要なので、若年層が利用しているのは理解できる。

今まで地上波テレビは自宅にいる高齢者が観ているというのが定説だったが、TVerとコロナ禍の自粛により若い層のテレビ番組の鑑賞が増えている。

テレビ離れと言われて久しいが、テレビ受像機を設置してリアルタイムで鑑賞する行為と、高齢者向けの番組が若者に忌避されているのだと思う。

TVerのCMはネット上の視聴なので手元のスマホによる購買に繋がりやすい。購買訴求効果がわかりづらいテレビCMよりもネットでの視聴なら視聴者数や視聴動向を把握しやすい。

TVerの伸長の背景に登録番組の充実が挙げられる。現状、番組の放送終了後、YouTubeへ違法にアップロードされるケースが非常に多い。YouTubeの視聴者数が増えたのと、YouTuberが注目を集めYouTubeで視聴者を集めると収益になることが認知されたのも大きい。どうせ違法にアップロードされるなら、オフィシャルサイトで観てもらおうとTVerに載せる番組が増えた。

若者向けに回帰するテレビ

TVerによる若い層の視聴の増加により、地上波テレビ局の番組制作が若者向けに回帰しつつある。一般に若い者の方が購買力がある。

長寿番組が相次いで終了しているのは、コスト削減の他に高齢者から若者向けに番組制作がシフトしたことが背景にあると思われる。

第七世代と呼ばれる若手芸人のテレビ出演が増えて冠番組ができるようになったのは、テレビへの若者回帰の流れの中で起きている事象だ。

アカウント制に移行できるか?

TVerの次のポイントはアカウント制に移れるかどうかだと思う。現状TVerはアカウント制ではない。クッキーを用いて好きな番組を登録できる「マイリスト」はあるが、ログインの必要はない。複数のデバイスで使うことを考えるとアカウント制にしたほうが便利だが、アカウント作成・ログインという手順を追加すれば、面倒だと感じるライトユーザーは離れてしまう。

気軽に視聴できるテレビのメリットを尊重して、現状はアカウント制にしていないと思う。

ただ、アカウント制にすれば、ユーザーの動向を正確に把握できユーザーに合わせた適切な広告を表示できるし、有料コンテンツの販売も容易になる。

アカウント作成しても使いたいと思えるほどコンテンツが充実した時にTVerはアカウント制に移行するのだと思う。

地方局はどうなる?

TVerでのネット視聴が一般化すると、一番影響を受けるのは地方局だ。地方局は地方特有の番組を一部制作しているが、大部分の時間帯は東京・大阪キー局の番組を流している。地方局制作の番組は全時間帯の10%前後と言われている。地方局制作が少ない理由は地方局のリソースの制約もあるが、キー局の番組を流すとネットワーク費として広告料が分配されるからだ。

地方局はそのネットワーク費とローカル企業のCMを流すことで経営を成り立たせている。TVerでの視聴が増えて、テレビで地上波を鑑賞しないようになると地方CMが売れなくなるし、ネットワーク費も減ってくる。TVerの広告料がどのように分配されているかわからないが、地方局のネットワークを使用していないので、広告料は分配されていないか、かなり少ないと想像する。

では、地方局は不要かというとローカルのニュースや天気予報は必要だし、地方の情報も観たい。全国の人が渋谷のカフェの情報を欲しいわけではない。

ただ、その情報を多額の費用と周波数を利用する地上波で流す必要があるかという疑問も残る。同じような情報を地上波ではなくネットで流せば良い。

良い例としてTVerに地方制作の番組をアップしている地方局が増えていることがある。芸人やタレントが出演している地方局の番組は多い。TVerの広告料だけでは経営が成り立つとは思えないが、地方局がネット視聴に切り替わっても生き残る一つの手段だと思う。

結局はコンテンツ

昭和の時代は「テレビを観ている」という感覚だったが、実際の行動は「テレビ局が制作するコンテンツを地上波で観ている」だった。番組を配信する手段が地上波からネットに変わっても良質なコンテンツならある程度の収益を得ることができる。

ただ、巨大企業であるテレビ局を支えるほどの収益がネットから得るのは難しいと思う。今後は企業体をスリム化しながら良質なコンテンツを量産する仕組みを残すという難しい舵取りがテレビ局には求められることになるだろう。

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