radikoとTVer
昔からのメディアであるラジオ。視聴者数減少に加えてAMラジオの難視聴問題があって、テレビより早くネットへの移行が進んだ。
ラジオのネットサービス「Radiko」では、パソコンやスマートフォンで無料かつリアルタイムでラジオが聴ける。テレビがNHKなど一部番組を除いてネットでリアルタイム視聴できないのと対照的だ。
ネットに対してテレビより先進的だったラジオだが、ここにきてテレビより劣っている部分も目立ってきた。
ラジオのネットへのアプローチを考えてみます。
radikoにできないこと
ネットの影響でテレビ視聴者数は減ってきているが、ラジオはさらに深刻だ。一週間のうちにラジオに接する人は全体の34%で、この10年で10%以上減少している。
テレビより危機感が高かったラジオはいち早くネット対応を開始した。音声だけなのでデータ通信量も少なくてもすむのも良かった。
radikoは若者を中心に一定層のファンを掴んだ。自動車以外にラジオ受信機を持つ家庭も少なくなったので、ラジオといえばradikoという年代も増えてきている。
その後、4Gが普及し高速データ通信が使えるようになり、テレビの視聴者数が減ってきたことで、紆余曲折あった後にテレビ各局は協働でネットで過去のテレビ番組を視聴できるTVerを始めた。
先行していたradikoだが、TVerに比べて弱い点が2つある。
1つ目はエリアが限定していること。radikoはネットでの聴取にもかかわらず、アクセスしているエリアを測定して、そのエリアで放送している放送局の番組しか無料では聴けない。
TVerは放送していないエリアの番組でも無料で視聴できる。エリアの制約はない。
radikoがエリア限定しているのは、ラジオが地元密着だからだ。ラジオ放送は地方に密着している番組が多く、CMも料金が安いので地元企業の広告が多い。
だから、地元だけしか視聴できないようにして地方局の広告収入を維持するように制限をかけている。
エリア外の番組を聴取するためには月額385円のプレミアム会員に入る必要がある。
2つ目は過去の番組聴取に制限があること。radikoのリアルタイム聴取は無制限無料だが、過去の番組は24時間以内に合計3時間だけ聴取できる。TVerは登録された番組であれば無制限に視聴できる。
どうしてradikoはこの制限をかけているのだろう。考えられる理由は広告をスキップされたくないからだろう。タイムフリーは早送りできるのでCMを飛ばすことができる。CMを飛ばされると経営状態が厳しい地方局には辛い。タイムフリーの制限は地方局に配慮した仕組みだと思われる。
radikoとTVerの違いは習慣の違い
radikoとTVerの仕様の違いは、お互いの視聴者の習慣の違いにある。
ラジオは運転中や仕事中のリアルタイム聴取が基本で録音しての聴取は一般的ではなかった。一方、テレビは昔からビデオが普及していて録画での視聴も普通に行われてきた。
だから、radikoはリアルタイム聴取を主体にしてタイムフリーに制限をかけている。テレビはビデオ録画の代わりにTVerを提供している。
また地元密着の番組が多いラジオはエリア外の聴取に制限をかけ、キー局提供の番組が地方でも多いテレビはエリア制限をかけていない。
テレビとラジオそれぞれの特色がネットサービスに出ていて面白い。