背面に3Dカメラ?
今年発売の新型iPhoneは背面に3Dカメラを搭載するとアメリカのメディアが報じている。
3Dカメラをなんのために搭載し、今後どのように展開するのか考察してみます。
3Dカメラとは?
3Dカメラは新しい技術ではない。10年も前からデジタルカメラに搭載され、最近では搭載するハイエンドのスマートフォンも増えてきている。
iPhone 7の頃からiPhoneへの搭載も噂されてきたが、今まで見送られてきた。
3Dカメラとは、文字通り立体的(3D)に撮影できるカメラだ。以前は、人間の目のように2つのレンズで撮影し、その視差(レンズ間の距離)から立体的な画像を生成する技術だ。
最近では、対象物に光を照射し、光の到達距離により対象物の深度を測定し、立体的に画像を残すToF(Time of Flight)方式が主流になりつつある。
顔認証のFace IDは、30,000以上の光を照射し、赤外線カメラで顔面を立体的に把握し、認証している。これも3Dカメラの一種だ。
3Dカメラでできること
3Dカメラを搭載することで、背景に「ボケ」をつくるポートレートモードを強化できる。対象物との距離を測定できれば、背景を正確に把握できる。
フラペチーノをポートレートモードで撮影した写真だが、カップ中央に刺さっているストローがぼやけて、窓枠みたいになっている。ストローを背景と認識してしまっているのだ。俗に言う「iPhoneのストロー問題」だ。iPhoneのポートレートモードは背景かどうかを距離だけではなく、撮影対象がなにかをAIで判別する。カップを撮影対象するのにストローは対象外と認識してしまっているようだ。
こういった問題も3Dカメラなら解消できるはずだ。
もうひとつはAR(拡張現実)だ。現実世界の映像に情報を挿入するARは、対象物を正確に測定する必要がある。今のiPhoneにも「計測」というアプリがあり、対象物の長さを測定できる。
3Dカメラを搭載されば、立体的に対象物を測定することも可能になる。カーナビで、遠くの景色を把握し、ビル名や店舗の営業時間などの情報を付与することもできる。
3Dカメラのその先にあるもの
AppleがiPhoneに3Dカメラを搭載する理由のひとつは、AR情報を付与した「Appleグラス」の開発があると思われる。特許情報などからAppleがARグラスを開発しているという噂がある。現実の景色にAR情報を付与できれば、ナビにも使えるし、出会った人の個人情報を表示することもできる。Apple Watchでウェアラブルデバイスを普及させたAppleの次の一手がAppleグラスなのは理解できる。
膨大な情報を瞬時に得られる「視覚」の拡張は、我々の生活を便利にするに違いない。
iPhoneに3Dカメラを搭載し、ARを一般化させてから、iPhoneをかざす手間をなくすAppleグラスを発売したらヒットするに違いない。
盗撮やバッテリー容量などの課題はあるが、Appleはそれらの問題を改善にしようと取り組んでいるに違いない。噂ではAppleグラスの発売は2021年以降になりそうだ。