povo 2.0!
KDDIが新サービス「povo 2.0」を発表した。povoはオンラインの申し込み限定の格安プランで、今回のpovo 2.0では月額料金を0円にして、「トッピング」と呼ばれるオプションを選択するサービスになっている。
トッピングは別に選ばないと0円で運用できる。月額0円で国内通話とSMSは従量課金、データ速度は128KBで運用できる。
一見お得なように見えますが、povo 2.0が本当にお得なのか細かく見てみます。
データ容量を選ぶ「普通のプラン」
月額0円と言うと、今までのプランにないお得なプランのように見えるが、トッピングがないと128KBでしか通信できないし、トッピングを長時間購入しないと使用停止になるそうだ。
当たり前だけど、KDDIとしてはトッピングを選んでもらう前提のサービスだ。
データ容量は、今まで20GBしかなかったpovoだが、3GB990円が選べるようになり、小データ容量にも対応してきた。
もともと総務大臣の強い要請で安くなった20GBだが、20GBも不要なユーザーも多かった。
ソフトバンクが「LINEMOミニプラン」を開始したのと同じ理由だろう。価格も同額だし。
3GB990円はリーズナブルな金額だ。KDDIのサブブランド「UQ Mobile」だと、3GBで月額1628円とpovoの方が安い。UQ Mobileは店舗でも契約・サポートが可能なので、オンライン限定のpovoの方がコストがかからないのだろう。
MVNOと比較すると、例えばIIJ mioなら、2GBで858円(現在は3ヶ月間増量中)とpovoの方が若干安いぐらいだ。
オンライン限定ということと、自社回線が使えるMNOの強みを活かして、povo 2.0は価格競争力があるサービスになっている。
面白いのは、povoのデータトッピングは期限が定まっている。通常のデータ容量プランは1ヶ月か、翌月に繰越しできるかのいずれかだ。
povoは1GBだと7日間限定だし、60GBだと90日間の期限がついている。普段0GBで運用していて他のキャリアをメインに使っているが、ちょっと不足した時に1GB390円で使うことができる。これは他のキャリアよりかなり安い。UQ Mobileだと500MB追加するだけで550円かかる。大体この金額が業界標準で、1GB390円は相当安い。
月末にちょっとデータ容量が足りない時にトッピングするのは経済的だ。
60GB 6,490円も毎月20GB契約するより、60GBの方が安い。1ヶ月当たりなら約2160円で、LINEMOやahamoよりも安く運用できる。
povo 2.0を開始した背景
KDDIがpovo 2.0を開始したのは、3GBのデータ容量プランを作りたかったと思われる。20GBも不要なユーザーを取り込むために少ないデータ容量プランが必要だったのだろう。
オンライン限定の場合、ベースコストがあまりかからないので、少ないデータ容量のプランを作りやすい。店舗での契約・サポートが必要だと、データ容量に関わらずコストがかかるので、少ないデータ容量でも価格を下げづらい。
LINEMOミニプランの対抗の意味もあるのだろう。また、楽天モバイルの影響も大きいだろう。楽天モバイルは1GB未満は0円で運用できる。そのあとは段階的に料金が上がる。20GBまでは税込2,178円で、povoで60GBを契約して月割りするのと同じような料金だ。
段階的に料金が上がる楽天モバイルは、20GB以上使いすぎると3,278円の支払いになる。毎月20GBを超えて無制限的に運用するなら楽天モバイルの方が安いが、20GB前後で毎月運用するなら、povoの60GBや150GBのトッピングを選んだ方が安くなる(通話を含めると無料の楽天モバイルの方が安いケースが多い)。
ドコモとMVNOはどうするか?
最初にオンライン限定の格安プランを始めたドコモが、povo 2.0に追随するかどうかが今後のポイント。現在ドコモのギガライトだと3GBで4,565円もして、povo 2.0には対抗できない(いろいろな割引料金はあるけど)。
おそらくpovo 2.0に対抗するためにahamoもミニプランを始めるのでは?
MVNOも厳しい状況になってきている。ahamoが登場した時は20GBの大容量プランは3大キャリア、小容量プランはMVNOという棲み分けが出来そうだったが、linemoミニプラン、povo 2.0でその分野もMNOが侵食してきた。
3大キャリアに回線使用料を払わないといけないMVNOはコスト的には不利で、元々店舗をほとんど所有していないので、コスト削減するにも限界がある。
MVNOは独自サービスなどで生き残りの道を探ることになりそうだ。