新型MacBook Pro発売
秘密の記者会見という謎の発表で16インチMacBook Proが発表された。
MacBook史上初の16インチモデル。ベゼルが細くなり、今までの15インチのボディに16インチを埋め込むのかと思ったら、ボディはサイズアップし、従来より一段上の「真のプロモデル」にかわった。
過去発売の15インチと比較して、16インチモデルの性格を探ります。
ディスプレイ
- 15インチ:15インチディスプレイ。 2,880 x 1,800ピクセル。220ppi
- 16インチ:16インチディスプレイ。3,072 x 1,920ピクセル。226ppi
噂のOLEDではなく従来のIPS液晶だが、解像度は増え、わずかに細密化している。15インチモデルは、実際には15.4インチぐらいあり、スペックほどに15インチモデルと16インチモデルの見た目の違いはないかもしれない。
デザイン
16インチのデザインは従来のMacBook Proとほぼ同じ。見た目で違うのは、ベゼル幅だ。ベゼルは横を26%、縦を34%小さくなって、ディスプレイ周りはシャープに見える。
もっとも、最新のWindowsマシンと比べると、決して細いベゼルではない。
キー
- 15インチ:ESCキーもTouch Bar。
- 16インチ:ESCキー・Touch IDがTouch Barより独立
不満が多かったTouch Barに改良が加えられた。ESCキーが通常のキーとして独立し、Touch BarとTouch IDの間に隙間ができた。
ESCキーは使用する頻度が多く、Touch Barでも常に表示しているので、独立したキーの方が利便性は高い。もともとESCキーをTouch Bar化したのはデザインのためだったと思う。
Touch IDも統一したデザインより操作性を重視して、間違って触らないように隙間が作られた。
カーソルキーは、従来のMacBookのように逆T字型配列に変わった。15インチモデルのように左右カーソルキーが大きい形状でも困ることはなかったが、ESCキーとTouch IDと同じようにユーザーからの要望だと思われる。
賛否両論あったTouch Barは残された。ESCキーが独立したように、今後のユーザーの意見次第では消滅するかもしれない。
キーボード
- 15インチ:バタフライキーボード
- 16インチ:シーザーキーボード
ホコリが詰まると不評だったバタフライキーボードが一新された。キーの深さが0.45mm増えて1mmになった。以前よりは少し力を入れて押す必要があるようだが、キータイピングはおとなしめになったようだ。
個人的には、軽く打てるバタフライキーボードは嫌いではないが、ホコリが詰まって無償修理を一度しているので、多少の打ち心地の違いより、壊れない方がやはり優先されるのだろう。
バックライトも少し変わって、キーの文字表記だけではなく、キー周辺が光るようになった。
スペック
新型モデルは、カスタマイズによってスペックは大きく変わる。プロセッサは第9世代インテル6コアのCore i7か8コアのCore i9を選べる。GPUも、AMD Radeon Pro 5000MシリーズでVRAMは最大8ギガ(従来モデルは4ギガ)。メモリは最大64GB、ストレージは最大8TB。
上限スペックから見てもわかるとおり、資金を投入すれば、ノートブックというよりモバイルワークステーションといえるハイスペックマシンを組むことが出来る。
ハイスペックを支えるように冷却機能も強化され、空気の流れが28%増加し、ヒートシンクが35%強化された。
16インチディスプレイと新しいキーボードに目を奪われがちだが、このハイスペックが可能な筐体が、新型モデルの一番の肝だ。
バッテリー持続時間
- 15インチ:最大10時間
- 16インチ:最大11時間
スペックが向上したにもかかわらず、バッテリー駆動時間は1時間伸びた。83.6Whから100Whにバッテリー容量が増えた。これもボディが少し大きくなったので可能になった。
電源アダプタ
- 15インチ:87W
- 16インチ:96W
スペックに合わせて、電源アダプタの電力もあがった。ただ電源アダプタのサイズに変更はない。
スピーカー
- 15インチ:3スピーカー
- 16インチ:6スピーカー
スピーカーも数が増えた。デュアルフォースキャンセリングウーファーと呼ばれる新しいウーファーで、低音の出力が強化された。
マイクの数は変わらないが、スタジオ品質の性能だそうだ。
サイズ
- 15インチ:高さ155 x 幅34.9 x 奥行き241mm。1.83kg
- 16インチ:高さ162 x 幅35.8 x 奥行き246mm。2.0kg
16インチは少しだけ大型化し、一皮分大きくなった感じだ。重さもプラス0.17kg。持ち運ぶのに2kgはちょっと重い。
前モデルで薄型化したボディだったが、今回再び大型化したのは、上昇したスペックを支えるためだろう。冷却機能、スピーカー、バッテリーとハイスペックを実現するために強化されたパーツを詰め込むためには、サイズアップが必要だった。
価格
- 15インチ:24万8800円~
- 16インチ:25万8800円~
スペックが向上したのに、1万円安くなった。これは為替の影響で、USの価格は変更なし。これだけのスペック向上でもお値段据え置きは、高価格戦略を修正してきた最近のAppleのトレンドどおり。
まとめ
今回のMacBook Proはフルモデルチェンジで、かなり多くのアーキテクチャ・スペックが変更になっている。キーボード、ディスプレイの変更が注目されがちだが、今回の一番の変更はモバイルワークステーションといえるハイスペックな仕様を組めるようになったことだ。
プロにふさわしいハイスペックな仕様を組めるようにするために、少し大きめな筐体が選ばれた。これらの変更は、MacBook Proが真のプロ仕様にするためだ。
スピーカーやマイク性能がオーディオ関連の仕事している人でも満足いく仕様になっているのも、同じ理由だ。
プロにふさわしいスペックが最初にあり、そこから逆算してハイスペックを支えるバッテリー容量・電力・冷却機能が計算され、それらを詰め込めるボディサイズが決まったと思われる。
少し前までMacBook、MacBook Air、MacBook Proと乱立していたMacBookも、MacBook AirとMacBook Proという標準モデルのMacBook Airとプロ仕様モデルにこれで整備された。
iPad、iPhone、AirPodsと続いたプロモデル戦略の集大成が、今回のMacBook Proのモデルチェンジと言えるかもしれない。