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決算から見えるAppleの次の一手

Appleは2017年度Q1の決算を発表した。

iPhoneの販売台数は過去最高を記録し、電話記者会見でクックCEOは、iPhone、サービス、Mac、Apple Watchで過去最高の売上だったと強調した。 

iPhoneのiPad化

これだけだと、ここ一年の不調からAppleは脱したように聞こえるが、本当にそうなのだろうか。

クックが言及しなかった製品iPadは前年同期比22%マイナス、好調だったApple Watchを含む「その他の製品」はー8%だった。その他の製品には品切れが続くAirPodsやApple TVが含まれるのに低調なのはiPodの販売減が大きいのだろう。

一番の課題は、iPhoneへの依存がますます進んでいることだ。Apple全体の売上のうちiPhoneが占める割合は70%に迫る。iPhoneがこければAppleもこける状態は変わっていない。

iPhone 7 Plusが好調で、製品単価は694ドルとあがった。iPhone 6 Plus発売当時はスマートフォンではなくファブレットだと論評されたが今は誰も言わず、5.5インチ画面は普通のサイズと受け入れられている。

クラムシェル型のノートPCの発展型として、Windowsで流行る2-in-1のように、Macの受け皿としてiPad Proに期待していたわけだが良い結果は得られていない。MacBook Proの新型が発売されたこともあり、むしろMacの方が好調だった。

Windowsでもわかるとおり、Macが将来も好調を維持できるかは不明だ。そうなると、今後iPadの領域までiPhoneでカバーしないといけなくなる。iPhoneに大画面バージョンなど複数のモデルを投入する可能性が高い。噂の有機ELやiPhone Proがハイエンドモデルとしてカバーすることになるのかもしれない。iPadのようにiPhone向けのキーボードを販売もあり得ると思う。

 

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増えるiPhoneファミリー

地域別に見ると、中国が低調で、その他の地域、特に日本が好調だった。Apple Payを開始した影響で日本はiPhone 7が伸びたのだろう。ローカルの新興企業が強いのもあるが、中国は以前の売上が盛り上がりすぎて平常な販売に戻ったとも言える。

Apple全体の北米の売上が占める割合は40%以下で、Appleが売上を伸ばすためには北米だけではなく全世界で売上を伸ばす必要がある。

そのためにも稼ぎ頭であるiPhoneを全世界の様々なニーズに対応するために、モデル数を増やしてくるだろう。新興国向けにiPhone SEのような廉価版、iPadの領域に踏み込む大画面モデル、日本のようなハイエンド志向の市場向けにiPhone Proの投入が考えられる。

すでに昨年は日本向けに独自のSKUを設けてFeliCa対応のiPhoneを発売した。今まで世界単一モデルを目指してきたAppleとしては大きな方針変更だ。モデルを増やせば利益を圧迫することになるが(今回研究開発費は増えている)、iPhoneに頼らざるを得ないAppleとしては、今回好調だったiPhone 7 Plusのような高価格のiPhoneを売ることでカバーするしかない。

強力なiPhoneブランドを背景にiPhoneファミリーを増やし、AirPodsなどのiPhone関連の周辺機器、アプリやサービスなどのエコシステムを強めていくのが今後のAppleの戦略になるだろう。

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