Apple Q4決算
Appleが2020年度Q4決算を発表した。前年同期比プラス1%のQ4として過去最高の売上だった。
新製品の発売が遅れたiPhone以外のカテゴリーで全て2桁成長だった。
詳細に見ていきます。
テレワークによる需要
- Mac:前年同期比プラス29%
- iPad:前年同期比プラス46%
テレワーク需要もあり、 MacとiPadの売上が大幅に伸びた。Apple silicon搭載のMacが年内に発売されると発表されて数年後には旧モデルとなることが分かっているIntel製Macがこれだけ売れるとは意外だ。13インチ新型Macbook Proの効果もあったのだろう。
iPadもデザインが変わった新型iPad Airの人気も影響したと思われる。
順調なAirPodsとApple Watch
AirPodsやApple Watchなどの周辺機器もプラス26%と大きく伸びた。ついにiPadの売上を越えて、Macの売上に近づいてきた。Apple Watch series 6の売上はこのQ4に含まれているのと、AirPodsとAirPods Proの売上が引き続き好調だ。新型iPhoneではEarPodsの同梱が廃止されて、AirPodsの売上がさらに伸びているという報道もある。
大黒柱に成長したサービス
サービスは前年同期比プラス16%で、Appleの売上全体の22%を占めている。Appleは公表していないが一般的にサービスの利益はハードウェアよりも高いので、利益に対するサービス部門の貢献は非常に大きい。
この秋Appleのサービスをパッケージ化したApple Oneを発表したが、動画配信サービス「Apple TV+」やストリーミングゲームサービス「Apple arcade」の売上はまだ未知数だ。サービス部門の売上の多くがApple MusicとiCloudだと思われる。
遅れた新型iPhone
新型iPhoneの発表が遅れたので、iPhoneの売上はQ4としては前例にないほど落ち込んだ。前年同期比マイナス21%。
これによって、Appleの売上のうちiPhoneが占める割合が41%と大幅に減少した(昨年のQ4は51%)。AppleのiPhone依存体質がずっと言われていたが、図らずも改善したことになる。もちろんiPhoneの販売遅延だけではなく、他のカテゴリーの製品・サービスが大きく伸びたことが貢献した。
Appleの死角は?
好調に見えるAppleだが、死角はあるのだろうか。
ひとつはサービス部門の売上だ。一見好調だが、Apple TV+はNetflix、Amazon Prime Video、Disney+と激しい競争をしている。
App Storeもサービスの売上に大きく貢献しているが、それはサードパーティ製アプリの売上の30%を徴収していることが大きく、ご存知の通りその「強権的」姿勢にFortniteのEpic Gamesが異議を唱え法廷闘争にまで発展している。
裁判の結果はまだわからないが、Appleが従来の方針を変更しないといけない事態も想定される。
もう一つの死角が大統領選だ。共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン全副大統領が激しく争っている。現在、司法省が反トラスト法に抵触しているとGoogleを提訴しているが、選挙後はいわゆるGAFAへの風当たりはさらに強くなることが予想される。
特に民主党のバイデン氏は独占企業に対して厳しく対応する可能性があり、Appleも例外ではない。以前のMicrosoftのような長期的に法廷闘争が続いたら、Appleの勢いが削がれる危険性もある。