好調な決算
AppleがQ4の決算を発表した。売上高が前年同期比のプラス2%とQ4としては過去最高の売り上げとなった。好調な理由と、今後の見通しを解説します。
伸びた「iPhone以外」
伸びたのは、iPad、Apple Watch、サービスだ。
iPadはプラス14%。モデル数も増え、モデルチェンジした廉価版iPadの売り上げが伸びたと思われる。タブレット市場は実質iPadの寡占化が進んでいる。iPadOSではマウスの使用も解禁されて、PCの代替になろうとしている。
Apple Watchなどのウェラブルデバイスは前年同期比プラス54%。Apple Watch 5発売前なのに大幅に伸びた。前期も大幅に伸びたので、Apple WatchとAirPodsが一般化してきたのだろう。
体感的にもApple Watchを身につける人が大幅に増えたと思う。Apple WatchのSuicaで改札を通る風景も日常的になった。日本では電子マネーの普及がApple Watchをさらに後押しするだろう。
10月に突然発売されたAirPods Proは、評価が高く品切れも起きていて、ヒット商品となっている。
サービスは前年同期比プラス25%。Apple TV+開始前なので、Apple Musicが伸びたと思われる。Apple Musicは他社デバイスで利用できるようになり、シェアを伸ばしている。
不調だったiPhone
iPhoneは前年同期比マイナス10%で、iPhone 11への買い控えが起きたとAppleは言っているが、マイナーチェンジになったiPhone 11の売り上げがどれだけ伸びたかはQ4にならないとわからない。
Apple全体に対するシェアは52%と、この一年でiPhone依存が弱まってきている。iPad、Apple Watch、AirPods、サービスとAppleの多角化戦略が功を奏しているように見える。
Appleの次の課題
とはいえ、iPhone脱却はまだ道半ばだ。過半数をiPhoneの売り上げに頼っている経営は不安定だし、米中の貿易戦争の行方もまだ見通せない。
iPhone依存から脱却するためには、まずはApple Arcane、Apple TV+を成功させることだ。
競合が多い市場なので、開始すれば売り上げがすぐに伸びることはなく、コンテンツを制作するために長期的な投資が必要で、iCloudやApple Musicのようにプラットフォームを作れば良いというサービスとは異なる。
じっくり時間をかけてサービスを育てていく必要がある。
もうひとつの課題は、次に伸びるハードウェアの開発だ。iPhoneとApple Watchの性能は煮詰まってきている。iPhone 11はカメラ性能以外はほとんど進化しておらず、Apple Watch 5はApple Watch 4とハードウェア的には進歩していない。
そろそろ次の独創的な製品が必要な時期だ。サービスの時代といっても、Appleはやはりハードウェアの企業であり、自社のハードウェアを中心にしてサービスを拡販するのがAppleのやり方だ。
サービスの売り上げに繋げるためには、ユーザーの空き時間を奪うことが重要になってきている。多忙な現代人の時間を奪い取らないとサービスの売り上げは伸びない。
そのために必要なハードウェアは、噂に上がってきている「Appleグラス」かもしれない。
来年のAppleは、サービスを拡販するための新ハードウェア開発が課題になると思う。