私の過ち
昨年の私が犯した間違いのうち最たるものがNintendo Switchが売れないという予測だった。いくつかの根拠をあげてSwitchの課題を記事にしたが、ご存知のようにSwitchは品薄になり、今でも入手困難な状態が続いている。
自分の誤った予測を行ったことについて個人的に任天堂に謝罪したい。本記事では自分の予測と現実がどこが違っていたのか検証する。
失敗したWii Uと同じ路線
この記事では、Wiiから変わらずターゲットにするライトユーザーは安価なスマホゲームに流れていて、わざわざ専用ゲーム機を購入しないと指摘したが、『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』『スーパーマリオオデッセイ』と出来の良い本格的なゲームを投入することで、スマホゲームでは飽き足らないユーザーを引き寄せることに成功した。
背景には任天堂のソフト開発能力の集中がある。Wii Uに早めに見切りをつけて、たっぷり時間と工数をかけて良質なゲームを開発した。決して数は多くないが、良いゲームを作ればユーザーがついてくると任天堂は判断したのだ。
Switchの最も大きな課題と思われた貧弱なラインアップも、開発陣の選択と集中を行い、大作を定期的に発表することでユーザーを飽きさせなかった。
Wiiから指摘されていたOSやネットワーク周りの貧弱さもSwitchでは解消された。動作も機敏だし、Wi-Fiも安定している。設計が古くても安定している、いわゆる”枯れた”SoCを使い、USB-Cをはじめとする業界標準のPCに近い仕様でまとめた効果が大きい。
スマホとバッティングする液晶ポータブル機
スマホとのバッティングを避けるために、高価な液晶を廃止して、据え置き機に特化したほうが売れると提唱したが、現実には液晶搭載だからこそSwitchは売れた。据え置きとしてより液晶ポータブル機としての利用のほうが多いという調査結果もある。
実際に触るとわかるが、Switchはスマホでは決して味わえないゲーム経験をもたらしてくれる。物理的なボタンでの操作はやはり快適だし、大型液晶も見やすい。コントローラーを外して液晶をテーブルに置くスタイルで遊んでいる人は少ない気がするが、小さなコントローラーも使い勝手が良い。製品のアイデンティティにもなっているコントローラーを差し込む音と感触も小気味よい。
課題はある
全世界で絶好調なSwitchだが、Wiiから続く課題はまだ残っている。任天堂制作のいわゆるファーストのゲームは売れるが、サードベンダーのゲームは売れない傾向も変わっていない。ゼルダとマリオという昔からのブランドに頼っているのも同じだ。『スーパーマリオオデッセイ』でみられる従来の枠にとらわれないゲームづくりは好感がもてるが、任天堂一社だけでどこまで今の勢いを維持できるだろうか。
もうひとつの課題はコントローラーの活用だ。コントローラーに付加価値を与えて新しいゲームづくりを提案する手法はWiiから続く路線だが、Switchでも十分に活用されているとは言い難い。コントローラーが最も活かしたゲームはローンチタイトルである『1ー2ーSwitch」だが、新技術のお披露目の意味合いが強く、新たなゲーム体験の創出するところまでには至っていない。
新型コントローラーが成功するかは、1月に発表された『Nintendo Lab』にかかっているように思える。
以上、課題はあるが、Switchの販売予測が大幅に外れたことについて謝罪させて頂く。ごめんなさい、任天堂。
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