販売好調なNintendo Switch
ホリデーシーズンの米国でNintendo Switchが人気だったようだ。過去のホリデーシーズンで最も売れたゲーム機になった。
日本でも販売好調で、Switchビジネスは本格的な収穫期に入った。当初は本体価格が高価だったので大人のユーザーが中心だったが、Nintendo Labo、スマッシュブラザーズの登場で小学生にも浸透してきた。実際に今回訪問した全ての親戚の家にSwitchがあった。
ハードだけではなく、ソフトも好調だ。「大乱闘スマッシュブラザーズ」は日米で大ヒットしていて、日本ではすでにダブルミリオンを獲得している。実際に少し遊んでみたら、面白いだけではなくボリュームもものすごく、これでもかと色々な要素が詰め込まれていて、これの続編を作るのは大変では? といらぬ心配までしたくなる。
今後もこの好調が継続するのか、今年の任天堂の課題を考えてみよう。
ソフト不足の課題は解消か
主力製品であるNintendo Switchの好調に死角はないのだろうか。Switchの課題といえば、ソフトの種類が少ないことだった。任天堂ハードは、任天堂が開発するソフトだけが売れて、他のソフトが売れないので、他社がソフト開発を躊躇する悪循環が常につきまとってきた。現にWiiとWii Uは新作ソフトが枯渇して、売上が失速した。
2018年のSwitchの年間ソフトランキングを見ると、トップ10に入った任天堂以外のソフトは、カプコンの「モンスターハンター:ワールド」、日本マイクロソフトの「Minecraft」の2本だった。
しかし、今後は「真・女神転生V」やレベルファイブの新作、あとついに「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」の登場が予定されている。据え置きかポータブルか曖昧な仕様がユーザーに受け入れられるかどうかわからなかったし、Wii Uの失敗もあってソフトメーカーは当初Switchのソフト開発に二の足を踏んでいた。Switchの販売が好調なので、昨年の初めに多くのソフトメーカーが開発を開始している。今年はその結果がでてくる年になるだろう。
任天堂も「ファイアーエムブレム 風花雪月」「Newスーパーマリオブラザーズ U デラックス」「どうぶつの森シリーズ」など多くのソフトの販売が予定されている。
当面、Switchのソフト不足は懸念しなくてもよさそうだ。
2台目需要を狙えるかが課題
今は好調なSwitchの売上だが、いずれ飽和化する。各家庭に行き渡ったあとに、ひとり一台買ってもらえるかどうかが課題となる。そのために必要なのは、本体価格の値下げとミッドライフキッカーの存在だろう。
任天堂はSwietchの値下げを今年中に行うべきだと思う。ハードの仕様を固定化するゲーム機は、時間が経てば部品価格が下落し製造原価は抑えられ、値下げが可能になる。値下げすることで、ひとり一台が実現しやすくなる。
もうひとつの重要な施策がミッドライフキッカーだ。ミッドライフキッカーとは、ライフサイクルの途中に追加投入される新たなデバイスのことだ。PS4はライフサイクルの途中で、PS4 Proという上位版を販売した。
任天堂ハードはミッドライフキッカーがなかったと思われがちだが、3DSには3DS LL、2DSがある。Wiiにはミッドライフキッカーは存在しないが、「Wiiリモコンプラス」「バランスWiiボード」など周辺機器を追加することで機能を拡張してきた。
4K対応のSwitch Proなど、Switchのミッドライフキッカーが登場してもおかしくない。ミッドライフキッカーが登場すれば、買い替え需要も進むし、買い足す家庭もあるだろう。
着実な進化が必要な2019年
2018年の好調な業績を継続させるために、今年の任天堂は良質で計画的なソフト供給を行いつつ、値下げなどの次の施策が必要があると思う。