Nintendo Switchに新モデル?
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、任天堂はNintendo Switch(以下、Switch)の新モデルを2機種用意しているそうだ。
1モデルはゲーマー向けの上位機、もう1モデルは廉価版だそうだ。販売以来、人気モデルのSwitchが新モデルを販売する理由を考えてみます。
3年目のSwitch
Switchは販売から3年目を迎え、販売100週までの販売台数はWiiを超えて据え置き型では史上最速の販売台数を誇る。
発売から100週間のハード販売推移(引用:G’zブレイン)
一見すると順風満帆だが、2つの課題がある。
ひとつは販売台数の勢いが落ちている点だ。今年度末までに2000万台の販売を目標としていた任天堂は1700万台に下方修正した。昨年はスマッシュブラザーズの販売もあり、ハードウェア台数を大幅に伸ばしたが、スマブラ規模のレベルのゲームを定期的に供給するのは至難の業だ。任天堂のハードウェアは、マリオやゼルダなどの任天堂のゲームが最大のアドバンテージとしている。人気ゲームブランドの供給が一巡すると、任天堂のハードウェアの売上も厳しくなる。すでにマリオ、ゼルダ、スプラトゥーン、スマブラは登場した。残るビッグネームは「どうぶつの森」か。
もうひとつの課題は、ポータブル機3DSの衰退だ。3DSは2011年に販売開始し、すでに8年が過ぎた。国内ではまだ毎週5,000台前後販売しているが、3DSの販売台数はSwtichの1割程度まで低下している。
引用:任天堂
3DSの販売を補う廉価版
3DSの後継機を出すのは非常に難しい。SONYがPS Vitaを販売停止したようにポータブル機市場はすでに消滅しつつある。スマホゲームが以前のポータブル機の市場を侵食している。
Switchは据え置き機にもかかわらず、ポータブル機としても遊べる。以前のポータブル機市場は、スマホゲームとSwitchに挟まれている。Switchの好調は、3DSの後継機が得るだろう市場を先食いしたともいえる。
これから3DSの後継機をだしても、新たなゲーム市場を構築するのは困難だろう。
新型Switchモデルは、3DSの実質後継機となるに違いない。Joy-Conがディスプレイに固定され、テレビへの出力機能が省かれると予想する。
ゲーマー向けを目指す上位機
Switchはポータブル機と据え置き機の市場を抑え、記録的な販売台数を売り上げてきたが、残る市場はゲーマー向けだ。この分野はゲーミングPCとPS4が占めていたeSportsが流行し、この分野の市場の拡大が見込める。
Switchがゲーミング機として足りないのは、マシンパワーと4K対応だろう。SwitchのマシンパワーはPS4にも劣っている。Switchの上位版はプロセッサーを変更すると思われる。もうひとつは4K対応だ。4Kテレビが一般化しつつある。
つまり、Switch上位版は、PS4 Proだ。PS4 Proが登場したのはPS4発売から3年目で、「Switch Pro」も同時期に登場することになる。
Switchは間に合うのか?
一方で、今月になってGoogleはストリーミングゲーム「Stadia」を発表し、Appleは「Apple Arcade」をイベントで紹介した。
どちらのサービスにも共通するのは専用のゲーム機が不要なことだ。GoogleとAppleが目指すのはSONYと任天堂のゲーム機市場を奪うことだ。
価格はわからないが、定額料金が安価なら、特にゲーマーはストリーミングゲームサービスに移る可能性も高い。
任天堂のブランドと自社開発ゲームに守られているSwitchだが、特に上位機は影響を受けるかもしれない。
5Gが浸透してくれば、スマートフォンでポータブル機を上回るレベルのゲームが遊べるようになる。Switch廉価版は、価格の縛りがあり5Gに対応できない。
そうなると、Switch拡販のための2モデルは、危機に直面することになる。ストリーミングサービスが登場し、5Gが一般化するまであと1年はかかる。
それまでにSwitchは新しい2モデルを浸透させ、ゲーマー向けのゲームを揃える必要がある。残された時間は、それほど長くないかもしれない。