CPUの内製化
AppleがMac用のCPUを内製化するとブルームバーグが報じている。
少し前に出た記事にあったAppleがディスプレイを内製化するのと同様に、コスト削減が主な目的だ。 iPhoneやiPadに搭載しているARM系CPUが使用できれば、Macのコストは大幅に削減できる。
OSの対応には膨大な手間がかかる
ただ、ディスプレイとCPUは大きく異なる。CPUをIntel Core CPUからARM系CPUに変更するためには、OSをバイナリーから変更しなければならない。もう多くの方は忘れていると思うが、以前MacはIBM製PowerPCを使用していた。Intel CPUへの移行には7年の歳月を費やしている。
当然、OSの再設計や新たな開発環境の構築に莫大なリソースもかかる。そこまでする意義が今のMacにあるだろうか。Macの売上はApple全体の約10%。売上10%のためのプロジェクトにしては大きすぎる。ほとんどの製品に採用されているディスプレイの内製化の方が重要性は高い。
ただ、Macは全アプリの開発環境であり、創業時から開発しているAppleの魂でもある。Macを延命させる必要はある。
そこで浮上するのがiOSとのハイブリッドモデルだ。
iOSハイブリッドモデル
数年前のiPadが隆盛の頃、MacがiPadにいつ吸収されるか話題になっていた。近年、iPadの販売が低調になり、あまり聞かれなくなったが、iPad Proの登場、キーボードを簡単を装着できるSmart Connectorの搭載と、AppleはiPadの”コンピューター”化に手を打ってきている。
iOSにエミュレータしたmacOSを導入するのが現実的な方策だと思われる。普段はiOSデバイスと動作し、アプリ開発や過去のソフトウェア資産を使用したいときはmacOSのエミュレータ版を立ち上げる。macOS上でWindowsを動かすBoot Campと同じ仕様だ。
すべてのMacを同時に移行させる必要はない。ビギナーユーザー向けの機種MacBook Airなどを廃止してiPad Proと統合、MacBook ProやMac Proは既存のまま当面残すことも可能だ。
そう考えると、3月のイベントで、噂だった廉価版MacBook Airが発表されずに、廉価版iPadだけが登場した理由も肯ける。
報道だと新製品の登場は2020年。これが本当なら遅くても来年のWWDCには何らかの発表があるはずだ。