進化を続けるAppleの「マップ」
Appleが「マップ」の刷新を計画している。
既存の地図情報を入れ替え、植生や建造物などをより正確な描写に変更する予定だ。
Google Mapを公式アプリとしていたiOSはiOS 6から自社製の「マップ」に移行したが、Google製に比べてクオリティが低く酷評された。
Appleも謝罪をして、毎年のアップデートで「マップ」を地道に改善していった。カーナビ機能を強化し、公共交通機関も検索できるようになっている。
Google Mapの驚異
Google Mapは使うたびに素晴らしい機能でいつも感心する。しかも無料だ。
カーナビ機能、公共交通機関の検索、店舗情報、ストリートビューと、想像できる地図の機能すべてを用意している。子供の頃から地図を眺めるのが好きだった筆者にとっては最高のアプリだ。
どうしてGoogleはこんな素晴らしいサービスを無料で提供できているのか昔から不思議だった。莫大なコストがかかっているはずなのに、ユーザーは使用料金を払う必要がない(企業が利用する場合はプラットフォーム料金を支払うが)。
「Web検索」も無料で凄い機能だが広告と連動しているので、レベニュー(売上)が入る仕組みがよくわかる。
Google Mapでは明確な広告は表示されないが、実はGoogle MapはGoogleの大きな収入源となっている。
ユーザーの獲得
まずは地図を利用するユーザーを自社のサイトに集めることに貢献している。Google Mapのユーザーは全世界で10億人以上。多くのユーザーを検索や他サイトに誘導できる。
個人情報の収集
Google Mapにはタイムラインという機能がある。設定をオンにすると、Google Mapを開かなくてもユーザーの移動した場所を記録できる。記録しているということはGoogleも我々の行動を把握している。それによって、ユーザーの好みや、立ち寄る場所をGoogleは知ることができる。タイムライン機能を利用しなくても、Google Mapで検索すればGPSの位置情報をGoogleへ伝えることになる。位置情報は個人ごとにカスタマイズされた広告表示に活用できる。
情報の精度を高める
情報には場所と時間が重要だ。どんなに貴重でも、場所と時間を特定できない情報は役に立たない。「事故で電車が休止している」という情報が入手しても、「いつ」「どこで」起きたか分からなければ意味のある情報にならない。
場所の情報を入手するのは非常に厄介だ。その場にいかないと得られない情報も多い。どんなに技術が進歩してもストリートビューは人間が世界中を巡って撮影している。
今、地図情報で注目を集めているのが、ローカルの情報だ。どの店に人気があるのか、いつ混雑しているのかなどの詳細情報は現地に行った人でないとわからない。
大事な情報源のひとつが口コミだ。利用者が増えれば、口コミも増える。
もうひとつは、人の動き。Google Mapで施設を検索すると、どの時間帯か混雑している教えてくれる。これはGoogleに位置情報を提供しているユーザーの訪問数を統計的に処理して表示している。
主戦場になるローカル情報
自宅から遠い場所の買い物はAmazonが大きなシェアを握っているが、徒歩圏内の買い物は地元の店が強い。家庭の支出の5割以上がローカルの買い物と言われている。配送料を無料にしても、配達時間を短くしても、会社や学校帰りの買い物の利便性にはかなわない。飲食店はAmazonでも配達できない。だからAmazonは、レジなしスーパー「Amazon Go」を開発し、高級スーパー「ホールフーズ」を買収した。
GoogleとAppleが地図アプリに注力する理由は、ここにある。Amazonの入りづらい領域だからこそ、両者は狙っているのだ。
地図を利用してもらい、その代りに情報を収集し、さらにユーザーを集める。集まった情報を元にローカル店舗の広告と繋げレベニューを上げる。
各社が切磋琢磨してくれて、より優れた地図アプリを提供してくれれば、ユーザーとしては嬉しい限りだ。もちろん、個人情報のセキュリティには気をつけてもらって。位置情報はプラバシーの根幹なので。